スマートフォンの未来を支える周波数フィルター用の圧電薄膜の電気機械結合係数の向上とメカニズムの解明

早稲田大学

本発表の詳細は、早稲田大学WEBサイトをご覧ください。
https://www.waseda.jp/top/news/75653

■発表のポイント
・スマートフォン向けフィルターの通過帯域を広くするため、大きな電気機械結合係数を持つ圧電材料の開発が盛んに行われてきた。
・窒化アルミニウム圧電薄膜にイッテルビウムを添加することで、電気機械結合係数が最大約1.4倍に増加することを実験で確認。
・イッテルビウムをウルツ鉱型窒化アルミニウム中に置換する際に、ランダムに配置するのではなく、チェーン状の構造が形成される状態がエネルギー的に安定することを解明。
・WITHコロナ社会で重要な大容量通信に向けた周波数フィルターへの応用やIoT社会に必要とされる多くのセンサー、弾性波デバイスへの応用も期待される。

■概要
早稲田大学理工学術院 先進理工研究科の柳谷隆彦准教授と国際理工学センターの賈軍軍准教授は、スマートフォン向けの周波数フィルター(BAWフィルター)に実用化されている窒化アルミニウム(AlN)圧電薄膜材料にイッテルビウム(Yb)を添加することで、AlN圧電薄膜の電気機械結合係数が最大約1.4倍増加することを発見しました。さらに、理論計算により電気機械結合係数の向上に関するメカニズムを解明し、新規圧電材料の探索に有用な指針を示しました。
今後、広帯域のBAWフィルターに応用するなど、大容量データ通信が重要なWITHコロナ社会に貢献することが期待されます。

この研究成果は、アメリカ物理学会の学術誌「Physical Review Applied」オンライン版に10月8日付で掲載さました。

【論文情報】
・掲載誌:Physical Review Applied
・論文名:Origin of Enhanced Electromechanical Coupling in (Yb,Al)N Nitride Alloys
・執筆者名(所属機関名):賈 軍軍(早稲田大学理工学術院・国際理工学センター)、柳谷 隆彦(早稲田大学理工学術院・先進理工研究科)
・DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevApplied.16.044009