「なぜ私になったらそういう話に…」 諫干問題で金子農相 佐賀知事発言に疑問呈す

閣議後会見で佐賀知事の発言に疑問を呈する金子農相=農水省

 金子原二郎農相は8日の閣議後会見で、国営諫早湾干拓事業の開門問題に絡み、非開門を前提とした現地視察に佐賀県の山口祥義知事が疑問を呈したことに「これまで何人もの大臣が開門しない前提の中で現地を訪問し、話をしてきている。なぜ(農相が)私になったらそういう話になるのか、よく分からない」と逆に疑問を投げ掛けた。
 金子農相は5日の就任会見で、開門しない方針を明確にし、特に佐賀県側の意見を聞きたいとして衆院選後に現地視察する考えを示した。これに山口知事は7日に佐賀県庁であった定例会見で「司法は(前提条件なしの)和解協議入りを提案している。佐賀県に非開門前提で話を聞きに来られるという趣旨がよく分からない」と語り訪問の趣旨を明確にするよう注文した。
 金子農相は8日の会見で知事発言の感想を問われ、開門せずに有明海再生基金による和解を目指す-とした2017年度の大臣談話に沿った対応をすることに変わりはないと強調。歴代農相の視察を引き合いに「今までそれで対応し、向こうも対応してきた」と首をかしげた。
 大臣談話は当時の山本有二農相が長崎地裁の非開門判決を控訴しないと発表した際「今後、国として開門しない方針を明確にして臨む」と表明。以降、慣例となっている農相就任後の現地視察の際も、金子農相の前任の野上浩太郎氏まで4人が談話に沿って非開門前提の発言を繰り返している。


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