「前市長も受け入れ表明のお礼と認識」 元社長が証言 宮古島贈収賄公判

 沖縄県宮古島市上野野原の陸上自衛隊宮古島駐屯地の用地取得を巡る贈収賄事件で、国への土地売却の便宜を図った見返りに現金600万円を受け取ったとして、収賄罪に問われた前宮古島市長の下地敏彦被告(75)の第3回公判が8日、那覇地裁で開かれた。贈賄罪で有罪判決が確定した「千代田カントリークラブ(CC)」の元社長(65)が証人として出廷し、現金を渡した状況などを説明。下地被告から何のお金なのか問われなかったとして「前市長も受け入れ表明のお礼だと分かっていたと思う」と述べた。下地被告は現金を受け取ったことは認めたものの「政治資金として渡されたもので、賄賂としてではない」などとし、無罪を主張している。

 元社長は2018年5月24日、県外出張中だった下地被告と東京都千代田区の全国町村会館で会い、「ありがとうございました」と言って現金を入れた紙袋を手渡したと説明。下地被告は「ありがとう」と言って受け取り、それ以上のやりとりは特になかったとした。

 弁護側から、下地被告が陸自配備の受け入れ表明をしたのは16年6月20日で、現金を渡すまで時間がたっていると指摘されると、「お金がなかった」と述べた。17年1月の宮古島市長選の期間中に、下地被告に25万円を渡したことを問われると「選挙の『お茶代』で風習として、みんながやっていること。何も考えずにやった」と振り返った。

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