【レクサス NX新旧比較】新型NXは内装の質感と使い勝手を大幅アップ! 後席スペースは同等ながらラゲッジスペース拡大

2021年10月7日に発売となったレクサス 新型NX。初代モデルが登場したのは2014年のこと。今や世界的に人気となっているコンパクトSUVだが、当時はまだまだであり、初代NXに限っては大ヒットするとはレクサス自身も予想していなかったほど。だが、蓋を開けてみれば世界的に支持され、現在はレクサスの看板車種にまで成長した。そこで今回はNXの新旧比較を敢行。すると初代の良さも生かしながら、デザインや質感を大幅に向上させていたのだった。

レクサス 新型NX&初代NX

無難なデザインをやめ、初代NXはかなり挑戦的なデザインだった!

遂に7年ぶりに登場したレクサスのクロスオーバーSUV、新型NX。今や完璧に兄貴分RXと並ぶ、レクサスの2大柱であり、今回乗り比べこそ出来ないが、撮影会に初代NXを持ち込み、徹底的に比較してみることにした。

第一のキモはスタイリングだ。そもそもレクサスは2012年にレクサスインターナショナルを立ち上げ、2013年には世界統一ブランドキャンペーンとして「アメイジングインモーション」を掲げ「感動」と「驚き」をモットーに生まれ変わった。他に似てない日本独自のプレミアムブランドとして世界に問い掛け始めた。無難な造形はこの時捨てたのだ。

初代NXはコンセプトカーのような大胆なデザイン! とくにボディサイドは特徴的だった

フロントドアからリアにかけて施されているプレスラインは大胆そのもの。リアフェンダーも大きく張り出すなど、まるでコンセプトカーのような派手なデザインであった

NXシリーズの最大のポイントは驚きのダイナミックフォルムであり、2代目は簡単に言うと初代のブラッシュアップ版だ。インパクトはそのままに、多少ヤリ過ぎていたディテールをバランス良くデザインし直している。

基本2012年のGSに続き採用した大型スピンドルグリルはそのままに、サイドのボディラインを整理したのだ。

初代は特にドア下のフロントからリアにかけて伸びるプレスラインと、マッチョに膨らんだリアフェンダーとのラインのぶつかり合いが凄かった。破綻、もしくは不協和音と言いたくなるほど複雑な造形が見られ、一部は鉄板のプレス限界ギリギリとも言われ、ドア断面は上から見るとブーメランのような二等辺三角形を描いていた。

>>

【新旧デザイン比較】新型NXも大胆なデザインを採用するも初代NXより少々おとなしい印象に

初代NXに比べるとサイドプレスラインは少々大人しくなった印象だ

しかし新型はダイナミックさはそのままに美しく破綻のないデザインに仕立て直された。特に上下を流れるプレスラインとリアフェンダーの繋がりがスッキリと美しい。

テールランプは左右一文字につながる大型LEDを採用するなど、スポーツセダンのISに近いデザインだ, ヘッドライトはポジションランプも一体化させるなど初代とは異なる仕上がりとなっている
テールランプは左右一文字につながる大型LEDを採用するなど、スポーツセダンのISに近いデザインだ, ヘッドライトはポジションランプも一体化させるなど初代とは異なる仕上がりとなっている

同時にヘッドライトは3つのL字配置から4連LEDに生まれ変わり、ライド下にかぎ裂きに付いていたLEDポジションランプはヘッドライト内にインテグレートされた。リアコンビランプもL字のブレーキランプがより強調され、左右をつなぐLED発光のガーニッシュと上手に組み合わされた。

新型NXはレクサスロゴをリアに装着せず、LEXUSに改められている

前後バンパー下にも左右、エクボのようにタテに伸びる切れ込みがプラス。ワイルドさを増した。

全体に初代NXの驚きをそのままにアクを取り去った感じだ。新型の方が、素直にカッコいい!と言えるデザインだろう。

またこの世代からリアのL字エンブレムの代わりに、LEXUSの5文字を横に配置。字体を含めて新しくブランドロゴをデザインし直している。

新型NXのドアハンドルに注目! 新感覚のドアを採用

車内からドアを開ける際はスイッチを押す仕組みとなっている。万一のことを考えて2回手前に引けば従来のドア同様に開けることも可能, 外側から開ける際はドアハンドル内側に設置されたボタンを押すことで可能となる。慣れるまで時間を要しそうだが、使い勝手に過不足はない
車内からドアを開ける際はスイッチを押す仕組みとなっている。万一のことを考えて2回手前に引けば従来のドア同様に開けることも可能, 外側から開ける際はドアハンドル内側に設置されたボタンを押すことで可能となる。慣れるまで時間を要しそうだが、使い勝手に過不足はない

一方、賛否両論となりそうなのが初採用のeラッチシステムだ。まったく新しいドア開閉システムでドアハンドルの造形は従来とほぼ同じだがハンドル全体が動くのではなく、中のスイッチでラッチ、アンラッチが行われる。

一瞬、あれドアハンドルが動かないぞ? と思うので戸惑うが慣れるとこちらの方が作業がラクになるという。この辺りは実際に使ってみて判断されたい。

新型NXのパワートレインは全6種類! 注目は新開発のプラグインハイブリッドと2.4リッターターボだ

2.4リッターターボエンジン搭載車はFスポーツのみの展開となっており、走行性能を求めるユーザー向けのモデルとなる

サイズに関しては新しくTNGAのGA-Kプラットフォームを使いつつほぼ変わってないのがいい。全長4660mm×全幅1865mm×全高1640mmで20mm長く、20mm広く、5mm高くなっているだけ。ホイールベースが30mm伸びたのが最大。

ポイントはパワートレインのチョイス幅が大幅に増えたこと。従来は2.5リッター直4ガソリンと2.5リッターハイブリッドの2種類だけであった。

新型NXは現行ハリアーより微妙に性能を上げた新世代2.5リッターハイブリッドを中心に、2.5リッターノンターボ、2リッターターボ代わりに登場した完全新作2.4リッターターボ。

そして2.5リッターハイブリッドをベースに電池を増やしたレクサス初のプラグインハイブリッドのPHEV。これまたRAV4PHVより電池量を増やしているから凄いし、上記のハイブリッドにそれぞれリアモーターを組み合わせた2つの4WDを加えた全6種類から選べる。

個人的には2.4リッターターボと2.5リッター PHEVのパワフルさが楽しみだ。エンジン技術と電動化技術をどちらも進化させているのだ。

>>

新型NXの内装は操作系を一新! 全車タッチパネル操作可能に

新型NXはナビやオーディオといった操作は全てタッチパネルで行う

インテリアで大きいのはクオリティアップとインフォテイメントの大胆システム変更だ。まず上質なソフトパッドをインパネからドア上部まで配し、全体クオリティを上げている。

驚くのは賛否両論あったセンターコンソールのスマートタッチの完全廃止。操作は最大14インチのタッチディスプレイ上で行い、その気になればステアリングホイール上の左右タッチセンサースイッチも使える「タッチトレーサーオペレーション」へと進化。馴れを必要とするが以前より使い易そうだ。

ベースグレードだけ9.8インチディスプレイを採用! 14インチとの違いはナビ機能だ

9.8インチモデルはエアコンの温度調整ダイヤルの位置が14インチモデルと異なる。ナビ機能に違いはあるが、オーディオなどの機能に違いはない

前述タッチディスプレイだがベースグレードは9.8インチのディスプレイオーディオが標準。使い勝手はほぼ同じだが、ナビの地図情報がクラウドに上げられており、通信システムが繋がっている間は使えるが電波が切れたり、契約がなくなると使えなくなる。その点、地図情報を自車で持つ14インチタイプの方が安心だ。

>>

【新旧後席比較】リアシートスペースは同等もラゲッジスペースを拡大

中央のシートに格納式のアームレストが設置されカップホルダーが2つ備わる。ドアポケットにも左右1つずつ設置されいるため、後席だけでも計4つのカップホルダーが備わるのだ

居住性だが、身長176cmの小沢が座り、ヒザ前にコブシ2つが入るのは新型も旧型もほぼ変わりなし。頭上の広さもほぼ同じだ。

ラゲッジに関しては開口部はさほど変わらないが、荷室奥行きが新型の方が長い。ラゲッジ左右の掘りはどちらも深く、初代でもトノカバーを外せばゴルフバッグが3つ積載できたので、新型はカバーを外さなくても積載できるかもしれない。

リアシートの操作ボタン設置位置を変更! 新型NXはラゲッジのみに操作パネルを設置

新型NX, 初代NX
新型NX, 初代NX

細かいことだがリアシートバックの電動リクライニングスイッチが旧型はラゲッジ内壁はもちろん、運転席のステアリング下に付いていたが、新型はラゲッジ内壁のみになった。ここは微妙に残念な省略とも思える。

新型NXの先進安全装備はAIを駆使!?

先進安全はこの世代から新世代のレクサスセーフティシステムを搭載。カメラの視野角やセンサー性能を上げると同時に認知判断のプロセスにAIを使い、より広い範囲を検知し、昼夜の右左折時や自転車の飛び出しにも対応できるようになっている。

デザイン、パワートレイン、走り味に影響する骨格からインフォテイメント、先進安全に至るまで一新したNX。ここから再びレクサスの大攻勢が始まるのかもしれない。

【筆者:小沢 コージ】

© 株式会社MOTA