【木造駅舎カタログ】美祢線004/70 重安駅

※2020年8月撮影

トップ画像は、美祢線重安駅。右の黒いクルマは筆者の乗って来たレンタカーではありませんよ。レンタカーはグレーのFitです。駅舎の左(北)に「運転従事者詰所」という表札のかかった建物があります。左端に四郎ケ原駅にあった駅名解説の看板が見えます。

まずは内容を読みに行きます。

※2020年8月撮影

駅名の由来。重安は駅付近の小村の名前、小字の利宗、山崎、重安、助行を総称したもの。重安は名田(平安中期以降の荘園公領制度の公田)のなごりである地名や湿地を意味する地名など諸説あるが詳(つまび)らかではない。

重安駅は美祢線のほぼ中央に位置する。厚狭駅から22.3km、長門市駅から23.7km。一時期は石灰石(セメントの材料)の輸送で栄え、駅西側には削りとられた石灰石砕石場が見られ、これがトレードマークになり駅の特色をあらわしている。

・・・と書かれています。駅利用者は、駅周辺の過疎化、モータリゼーションによって20年間で10分の1に減少しています。

この駅には、駅構内に太平洋セメント重安鉱業所の石灰石積込施設がありました。2013-4年頃までは石灰石を運ぶ設備が空中にあったことを強く記憶しています。「今は、昔」です。

※2020年8月撮影

重安駅は、1916年(大正5年)美祢軽便鉄道の終着駅として開業。国有化された後於福駅まで延伸されました。1922年(大正11年)美禰線(1963年以降は美祢線)に改称。既述の様に2009年(平成21年)までは構内に太平洋セメント重安鉱業所の石灰石積込施設があって太平洋セメント所有のホキ9500形貨車による石灰専用貨物列車が宇部岬駅との間を1日1往復していました。2014年(平成26年)貨物取扱終了。JR貨物の駅も廃止されました。

駅舎には、建物財産標がありました。記載は「日本国有鉄道 建物財産標 財第15号 鉄 C停 本屋1 大正10年2月20日」。1920年(大正9年)於福駅まで延伸されていますから、その翌年の日付です。1921年。100年前です。改修されているので駅舎はキレイです。屋根が少し「ヤレ」ていますが。

※2020年8月撮影

無人駅です。待合室の電灯は点いていないので暗かったですね。

※2020年8月撮影

駅横の駐車場から島式ホームが見えます。左奥の壁面に山向こうにある石灰採石場との運搬用設備がありました。

※2020年8月撮影

厚狭行の上り列車が来ました。キハ120形2両編成です。雨粒は見えませんが、全身水をかぶった様に濡れました。凄まじい湿気です。

※2020年8月撮影

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)

© 株式会社エキスプレス