【大学野球】体が細くなっていた選手たち…コロナ禍乗り越えた法大、敗戦も指揮官は万感の涙

法大・加藤重雄監督【写真:中戸川知世】

ドラフト候補の先発・三浦は4回10安打5失点「自分の実力不足」

東京六大学野球の秋季リーグが9日、神宮球場で行われ、第1試合は法大が3-8で立大に敗れた。8月後半に野球部内で発生した新型コロナウイルスの集団感染。約1か月の活動停止を乗り越えてリーグ戦を迎え「感謝の気持ちでいっぱいです」と加藤重雄監督は涙ながらに初戦を振り返った。

8月25日。大学の公式ホームページに野球部員33人の新型コロナ感染を確認したと発表した。8月20日以降は活動を一切停止され、再開できたのは9月25日。17試合を予定していたオープン戦は活動停止前の5試合しか行えず、再開後は紅白戦を1試合行ったのみで、この日の試合に臨んだ。

先発したドラフト候補の三浦銀二主将(4年)は「神宮で試合できるのも、配慮のおかげだと思っているので感謝しかない」とマウンドに立てる感謝を口にした。活動再開から2週間で迎えたこの日は4回9安打5失点で降板。「コンディションは良くはなかったですけど、それを言い訳にするつもりもないですし、打たれてしまったのは自分の実力不足」。11日のドラフト会議を前に、冷静に自身の投球を振り返った。

連係ミスなど実戦感覚戻ってなくても…加藤監督「感謝の気持ちでいっぱい」

加藤監督は「きょうという日を迎えられたのは六大学の皆様、他大学の関係者の皆様に支えられて格別のご配慮をいただいて、勝敗は残念ながら負けてしまいましたけれど、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝の言葉が止まらなかった。さらに、言葉を詰まらせながら当時の状況についてこう明かした。

「隔離とか体力の衰え、精神的なストレスも心配はしていたんですけど、お菓子の差し入れをしたりだとか気分を紛らすようにやってはいたんですけど。やっぱり体力的には……会った時にはみんな……細くなっていましたね」

つらく、長い活動休止期間だったことを物語った指揮官の涙。試合でも内野の連係ミスやボークなど実戦感覚が戻っていないような場面も見られた。それでも「野球を好きなのかみんな一生懸命やってくれた。一生懸命なプレーを見ていただくことが、一番感謝に報いる姿勢じゃないかなということで、とにかくできる範囲内の事はみんなで一丸となってできることはやった」と9回に2点を返す粘りをみせたナインを労った。

法大はこの日から19日間で全10試合を戦う過密日程。三浦は「まだ1試合目負けただけなので、もちろん優勝を目指したい。やるからには勝ちたい」と決意を新たにした。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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