子宮頸がん 積極予防を 青森県内医療者「ワクチン接種が効果」/八戸など個別に制度周知

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子宮頸がんワクチンを接種する女子高校生=9月、弘前市の産婦人科クリニック

 子宮頸(けい)がんワクチン接種の必要性を訴える声が青森県内医療関係者から上がっている。子宮頸がんは20~30代の若い世代で増加しており、国内で年間約3千人が死亡。ワクチンの予防効果は約6~7割とされている。八戸市などは定期接種制度を個別に通知しており、接種者は徐々に増加している。関係者は「ワクチン接種と検診はがん予防の両輪。対象者に接種制度をより知ってもらいたい」と呼び掛ける。

 9月中旬、弘前市の産婦人科医院で高校1年の女子生徒が、3回接種予定の子宮頸がんワクチンの1回目を受けていた。女子生徒は「学校でがんについて学び、接種が必要だと思った」と話した。

 クリニック院長の坂本知巳医師は「子宮頸がんは20~30代にかかる確率が比較的高い病気。子宮を摘出したり、命を落としたりすることがないよう接種を勧めたい」と語った。

 ワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ。国は2013年4月から、小学6年~高校1年の女子を対象に、原則無料のワクチンの定期接種を始めた。しかし、一部で健康被害を訴える声があったため、同年6月から積極勧奨を中止。接種率は1%程度と低迷していた。厚労省は20年、対象者へ制度を周知するよう全国の自治体に通知するなど、国の対応に変化が出ている。

 県によると、県内の接種延べ人数(接種回数)は16年度49人、17年度32人と少なかった。しかし、18年度は148人、19年度948人と増加。20年度は1730人となった。

 八戸市は19年度、定期接種制度に関する通知と国のリーフレットを対象者に郵送。市内の接種者は延べ723人と、前年度の44人に比べ大幅に増えた。20年度の接種者は661人だった。

 市の担当者は「ワクチン効果とリスクについて理解してもらいたいと考えている」と語った。

 弘前市も20年度、文書で制度を周知したところ、接種者は延べ535人と前年度の94人から大きく伸びた。

 あおもり女性ヘルスケア研究所(弘前市)の蓮尾豊所長(産婦人科医)は「積極的勧奨中止の世代で、ワクチンを接種していない女性が30代前後になったとき、子宮頸がんが増加し、救えるはずの命が失われることが懸念される」と説明。「日本産科婦人科学会の診療ガイドラインでは、ワクチン接種で約6~7割の子宮頸がんを予防できるとされている。ワクチンで発症を予防し、予防できなかったがんを早期に検診で発見して命を救いたい」と語る。

 厚労省の専門部会は今月1日、現在中止している積極的接種勧奨について、海外の大規模研究でワクチンの予防効果が示されていることなどを踏まえ、再開を認めることで一致した。今後、厚労省は再開の時期や接種機会を逃した人への支援策について検討を進める。

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 子宮頸がんワクチン 子宮の入り口付近にできる子宮頸(けい)がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチン。約半年かけて計3回接種する。日本では2009年に初承認、13年に予防接種法に基づき原則無料の定期接種となった。公的接種は100カ国以上で行われているが、日本は諸外国と比べて接種率の低さが課題とされる。