マンモグラフィーやエコー 本紙記者リポート 大丈夫、乳がん検診 

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②マンモグラフィーでは検査技師が体の向きや角度を分かりやすく教えてくれる

[愛GIVER project 社会で支えるがんとの暮らし]

 10月は乳がん月間。「もしも自分ががんだったら」「マンモグラフィーって痛そう」。あらゆる不安から検診に「行かない理由」を探している人はいないだろうか? しかし、今は女性の9人に1人が乳がんになる時代。きちんと検診を受けるに越したことはない。

 かつては自身も検診に行かない一人だった。でも2年前に検診を受けると思ったより痛くないことが分かり、今年も受けることに決めた。松山市勝山町2丁目にある「乳腺クリニック・道後」で、井上博道院長(58)の解説とともに「乳がん検診」の現場をリポートする。

【①まずは問診票】

 まずはこれまでの検査歴や症状を記入する問診票を記入。記者は「検診(自覚症状なし)」にチェックを入れた。「痛み」「乳房のしこり」「乳頭分泌物」などがないか問う選択肢もある。ペースメーカーの有無や妊娠の可能性、授乳中かどうかを問う欄も。当てはまる場合はマンモグラフィーを受けられない。

【②マンモの痛み「許容範囲」】

 上半身のみ検査着に着替え、検査開始。マンモグラフィーの装置を前に、女性の技師が、立つ場所や顔の向きなどを指南してくれる。片方の乳房を装置の台に乗せ、少しずつ透明の板で挟んでいく。「しっかり挟んだ方がよく見えますからね」と技師。痛みに弱い自分だが、これは許容範囲だ。挟んでいる時間は1回につき10~20秒ほどで、両胸の縦方向と横方向、計4回撮影した。

【③乳腺エコーで詳しく】

 乳腺エコーは専門の医師が担当。そばに女性の看護師もついてくれている。ベッドに横になり、両手を上げてバンザイの姿勢を取る。乳房に加え、脇のリンパも検査するためだ。しこりがないかを触診で確かめ、専用のジェルを塗り超音波検査機をさまざまな角度から当てていく。ひやっと感はないが、人によっては多少くすぐったいかも。そばにモニターがあり、自分もちらっと確認できた。10分程度で終了。

【④1時間足らず】

 マンモグラフィーと乳腺エコーの検査結果を見ながら医師の説明を聞く。「白い点のように見えるのは石灰化しているところですが良性なので大丈夫です」と言われ一安心。リンパの腫れも確認されなかった。「セルフチェック」シートをもらい検査は終了。完全予約制なので1時間もかからなかった。料金は医療機関によるが、ここのクリニックはマンモグラフィーと乳腺エコーで自費診療費6500円。症状がある場合の乳腺診療は保険適用となり3割負担者の場合は3600円になるという。

【初期なら高生存率 早期発見を 乳腺クリニック・道後(松山) 井上博道院長】

 ―マンモグラフィーと乳腺エコーで、それぞれ何を見ているのか。

 マンモグラフィーでは乳房全体を、乳腺エコーでは問題のありそうな箇所をピンポイントで詳しく見る。マンモグラフィーで全体を俯瞰(ふかん)し、気になるところを乳腺エコーでみることで、がんの発見率が約2倍になり、検査時間も短縮できる。マンモグラフィーだけの検診もあるが、乳腺の濃度が濃い人は見極めが難しいので、乳腺エコーとセットで受けることを勧めている。

 ―「マンモグラフィーは痛い」といった理由で検診を敬遠する人もいる。

 胸の大小ではなく、乳腺の発達具合や技師の腕で変わってくる。生理前は乳腺が張り痛みが出やすいので避けた方が無難だろう。最近は圧迫板の材質が良くなり痛みが軽減されてきた。乳房を伸ばすほどよく見えるので精度も上がり、被ばく線量も少なくて済む。

 ―どれくらいの頻度で検診を受けるのがいいか。

 30代は2年に1回、40代は1年に1回程度を勧める。同じ医療機関で検診を受けると前回の画像と比較できる。しこりや乳頭から分泌液が出るなど自覚症状がある場合は検診ではなく受診を。乳がんは痛みがないのも特徴。痛みがないといって放っておかないで。

 ―日本の女性の9人に1人が乳がんになるといわれる。

 すごいスピードで罹患(りかん)者が増えている。食生活や環境ホルモンの影響ともいわれるが出産、授乳経験がない人の増加も一因だろう。そうした人は、がんの発生に関係する女性ホルモン「エストロゲン」にさらされる期間が長くなる。初潮が早い人、閉経が遅い人、閉経後肥満の人も注意が必要。年代のピークは40代後半~50代前半で他のがんよりピークが早いのが特徴だ。原因は不明だが愛媛は人口あたりの乳がん罹患率がかなり高い。

 ―乳がんは「自分で検査ができる唯一のがん」とも。

 初期段階で発見すれば10年後の生存率が100%に近いといわれる。今は新型コロナウイルスの影響で検診控えが増え、ステージが進行している例が多い。月1回程度のセルフチェックと検診を組み合わせ、早期発見に努めてほしい。忙しい人には土曜日に検診できるクリニックがあるほか、10月第3日曜日には全国一斉の検診「JMS(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)」がある。今年は10月17日開催なので未受診の人は検討してほしい。

①問診票に検査歴や症状の有無を記入する記者
②透明の板と黒い台の間に乳房を薄く伸ばして挟むマンモグラフィー
③乳腺エコーで乳房や脇のリンパを深部までくまなく検査する
井上博道院長