タイソン・フューリー VS ワイルダーの激戦に絶賛の嵐 「アリ VS フレージャー以上」の声も

大逆転でワイルダー(右)を下したタイソン・フューリー(ロイター)

王者のタイソン・フューリー(33=英国)が前王者で同級1位のデオンテイ・ワイルダー(米国)をKOで下したボクシングWBC世界ヘビー級タイトルマッチ(9日=日本時間10日、米ネバダ州ラスベガス)が高評価を得ている。

試合は3ラウンド(R)にダウンを奪ったフューリーだったが、4Rに2度のダウンを喫し、相手の雪辱を許すかに思われた。だが、10、11Rにダウンを奪い返す逆転劇で終止符を打った。

長く続いた両者のライバルストーリー。2018年12月の第1戦は引き分け、20年2月の第2戦はフューリーがTKO勝利した。迎えた3戦目は見応えのあるスリリングな展開。その末の劇的な幕切れに、海外メディアからも〝歴代3番勝負〟の中でも過去最高の声が上がっている。

米スポーツ専門局「ESPN」はこの一戦を「モハメド・アリとジョー・フレージャー、リディック・ボウとイベンダー・ホリフィールド以上の価値のある3部作」と報じた。「戦うことよりSNSに投稿することが多い選手、あいまいなタイトルの乱立、協力し得ないプロモーターが蔓延するなど、今はボクシングにとって必ずしも好ましいとはいえない時代。それでもこのイベントはすべての解毒剤となった。ハリウッド作品を超えていると同時に、まだこのスポーツは大きな威厳を生み出すことができることが分かった」と最大限の評価を下している。

特に〝ザ・グレーテスト〟ことボクシング元世界ヘビー級王者モハメド・アリ、そのライバルとして君臨した元世界ヘビー級王者ジョー・フレジャーの3番勝負は1戦目、そしてフィリピンのマニラで開催され「スリラー・イン・マニラ」と呼ばれた3戦目が、米リング誌の年間最高試合に選出されるなどファンを魅了し、今なお語り継がれるストーリーとなっている。

それを超えたとなれば、新たな究極の3番勝負となる。両者の物語はこれで決着となるのか。

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