「助けることあきらめた」 懲役4年〜6年6カ月判決 川崎中1殺害事件

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年2月、市立中学1年の男子生徒=当時(13)=が殺害された事件で、傷害致死罪に問われた無職少年(18)の裁判員裁判の判決公判が14日、横浜地裁で開かれた。近藤宏子裁判長は「事件のきっかけをつくった責任は重く、犯行も悪質」とする一方で、「役割は従属的なものだった」として、懲役4年以上6年6カ月以下の不定期刑(求刑懲役4年以上8年以下)を言い渡した。

 近藤裁判長は判決理由で、「すでに切り付けられていた男子生徒に対して、少年は首などをカッターナイフで切り付けるという危険性の高い暴行を3回も加えている」と非難。主犯格の少年から命令を受けた後は「被害者を助けることを早々にあきらめてしまい、被害者を助けたいという気持ちがあったことすら伺えない」とした。

 その上で「凶悪性、悪質性を大きく減じて保護処分を許容し得るまでの特段の事情があるとはいえない」と指摘。「少年院送致の保護処分が相当」として、少年法の規定に基づき家裁への移送を求めていた弁護側の主張を退けた。

 最後に裁判長が「判決の内容は分かりましたか」と少年に尋ねると、少年は正面を向き「はい」とだけ答えた。

 裁判は、起訴内容に争いはなく、少年に懲役刑の刑事罰を課すか、少年院に収容する保護処分とするかが焦点となっていた。判決は殺人などの罪で懲役9年以上13年以下の不定期刑が確定した主犯格の少年(19)に続き2人目。少年は起訴された3人のうち、亡くなった男子生徒と最も親しかった。

 判決によると、2月20日午前2時ごろ、多摩川河川敷で、主犯格の少年(19)らと共謀し、男子生徒の首をカッターナイフで切り付け、死亡させた。

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