ソフトバンク・工藤監督が電撃辞任 取りざたされる後任候補の「名前」

次期監督候補の小久保ヘッド(右)と工藤監督(東スポWeb)

ソフトバンクの工藤公康監督(58)が今季限りで辞任する意向を固めた。球団側は全幅の信頼を置き、続投を基本方針として要請もしていた。しかし、チームがBクラスに低迷する現状を指揮官が重く受け止め、けじめをつける決断となった。球団は急ピッチで新体制作りに動き出すことになった。

過去6年間で5度の日本一にチームを導いた工藤監督が、今季を最後に身を引く意志を固めた。就任以降、順位は常に2位以上。CS、日本シリーズでは〝短期決戦の鬼〟と称される采配を見せた。しかし、今季は打線が低迷。頼みの救援陣にも故障者が続出し、苦しい戦いとなっていた。

フロントは工藤監督の手腕を高く評価しており、順位にかかわらず続投を基本方針としていた。ポストシーズンも含めて毎年160試合近くを戦い、近年では前例のない日本一V4を成し遂げていた中で「このようなシーズンが生まれてしまうのは仕方がない」(球団関係者)。全幅の信頼を置き来季続投を要請していた。

ただ、かねて勝負師として「負ければ責任を取る」との覚悟で工藤監督が戦ってきたのも事実だった。勝負どころと位置付けた終盤戦でもチームのエンジンはかからず、直近でも8連敗を喫するなどBクラスが現実味を帯び、けじめをつける決断に至った。

工藤監督の続投を目指してきただけに、現在は「ゼロベース」「白紙」の状況でもある。ここから球団は急ピッチで新体制作りに着手していくことになる。後任候補はどうなっていくのか。内部昇格で名前が挙がるのは小久保裕紀ヘッドコーチ(50)だ。昨オフに次期監督候補として入閣している。

特に野手陣が世代交代の過渡期を迎えている現状を考えれば、入団会見で「厳しさと愛を兼ね備えた存在でありたい」と所信表明した〝小久保イズム〟がチーム再建と合致するのではないかと見る向きもある。もっとも、来季の青写真として球団が描いてきたのは現体制での巻き返しで、段階を踏んで小久保体制へ移行する形が想定されてはいた。

外部招聘の候補としては前監督の秋山幸二氏(59=評論家)の名前が浮上する。もともと秋山氏も王監督(現球団会長)のもとで、ラスト2年はヘッド格である総合コーチ、チーフコーチを務めて監督を引き継いでいる。

サプライズの候補としては、城島健司会長付特別アドバイザー(45)。かねて監督候補として期待され、現在はフロント業務に専念しているが、ユニホームには無関心を貫いている。とはいえ、待望論があるのも確かだが…。

この日のオリックス戦(ペイペイ)で連敗は8で止まったが、状況的にはCS進出も絶望的。それでも工藤監督は「少しでも可能性がある限りあきらめてはいけない。残りの10試合。これぞホークスの野球というものをファンの皆さんに見せられるようにやっていきたいと思う」。5度の日本一を成し遂げた名将の最後の戦いを経てホークスが新時代へと向かう。

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