直径0.3ミリのごみ検出…機械が「匠の技」超えた 日産の次世代車づくり

ロボットアームに取り付けられたカメラが、車体の微細なごみを検出する=日産自動車の栃木工場

 日産自動車(横浜市西区)が8日公開した栃木工場(栃木県上三川町)の生産ラインには最新技術が多数盛り込まれた。「次世代の車づくり」を掲げる現場を、工場の担当者とともに巡った。

 「ウィーン、ウィーン」

 機械音が響く中、黄色いロボットアームに取り付けられたカメラが動き回り、車体の表面をくまなく撮影していく。わずかな「揺らぎ」を捉え、直径0.3ミリ程度の微細なごみを検出する作業だ。

 「従来は人の目による『匠(たくみ)の技』で見つけていたが、どうしても漏れがあった。自動化により、95%だった精度が100%に高まる」と担当者。付着していたごみの位置は、作業員が腕に着けた端末に図示され、容易に取り除ける仕組みになっている。

 「パワートレイン」(駆動装置)の取り付け作業も、完全自動化にこぎ着けた。従来は複数の工程が必要で、5~6人が腰を曲げたままでの作業を強いられていたが、新たなシステムでは一括で搭載できる。

 日産は電気自動車(EV)へのシフトをにらみつつ、当面はハイブリッド車やガソリン車が混在する状況が続くとみる。同工場の最新設備では、EV専用の生産ラインではなく、一つのラインでいずれにも対応可能な「混流生産」を採用した。坂本秀行副社長は「過渡期に有効な製造技術で、効率も高い」と強調した。

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