即戦力は「必要です」も… ソフトバンクが明桜・風間球打への1位入札を決めた理由

ノースアジア大明桜・風間球打【写真:荒川祐史】

「今年の戦いを見ていても、思うようにいっていない。編成部門としては戦力を入れていきたい」

プロ野球のドラフト会議は11日、都内のホテルで開催される。ソフトバンクは1位でノースアジア大明桜の最速157キロ右腕・風間球打投手に入札することを9日に公表。高校生ナンバーワン右腕に、最も高い評価を与えた。

5年連続日本一を目指した今季はここまで4位と低迷。故障者や離脱者が相次いだこともあるが、投打ともに苦戦を強いられた。投手ではモイネロや森を中盤に欠いた影響もあり、若いリリーフ投手が終盤、状態を落とした。野手は世代交代を推し進めることができなかった。

チーム状況を鑑みれば、投打ともに即戦力の選手をドラフトで指名したいところ。その中で、なぜ高校生投手の風間の1位入札を決めたのだろうか。

10日にメディアに対応した永井智浩編成育成本部長は指名方針について「投手ばかり、野手ばかりと偏るのではなく、バランス良くというのを考えています。年齢層もバランス良く、ポジションもバランス良く、というのがいい。評価をもとにやっていきたい」と語った。

風間への評価は、1軍の戦力になれる投手、ではなく、チームのエースになれる

即戦力の野手はここ数年の課題だ。栗原がレギュラーに成長し、今季はリチャードも台頭。それでも、ベテランがチームを支えている部分は大きい。永井本部長も「(即戦力の野手は)必要です。投手もみんなほしい。今年の戦いを見ていても、思うようにいっていない。編成部門としては戦力を入れていきたい。近年は野手中心に来たんですけど、補えたわけではない。野手は入れていきたい」と、必要性を認識している。

それでも、1位入札は高校生投手の風間に決めた。近年のドラフトでも投手は指名してきたが、「本当に中心になる投手を指名できていなかった。今年は将来チームの中心になる可能性のある投手を指名するということで風間くんに決めました」と永井本部長。風間への評価は、1軍の戦力になれる投手、ではなく、チームの大黒柱、エース級の投手になれるというもの。即戦力の必要性は重々、承知の上での1位入札ということだ。

指名人数に関しても「それを言ってしまうと、他球団もホークスの形が読みやすくなるかなと思うので具体的な数は勘弁していただきたい」と明言を避けた。ただ、球団は来季から3軍制の拡大を目指していることもあり「例年ホークスは多いですけど、例年より少し多く獲得したいと思います」と育成選手では10人超の指名を予定しているという。

今後のチームの命運を左右することになるドラフト会議。どれだけ思惑通りの指名ができるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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