カネミ油症事件発覚から53年 「次世代調査」の動画公開 自ら被害語るきっかけに

© 株式会社長崎新聞社

次世代調査の意義やポイントを伝えるためYSCが制作した動画の一場面

 長崎県などに被害者が多いカネミ油症事件が新聞報道で発覚して10日で53年。全国油症治療研究班(事務局・九州大)は今夏、汚染油を直接食べた認定患者の、子や孫の健康状態を調べる「次世代調査」を始めている。これに合わせカネミ油症被害者支援センター(東京、YSC)は今月、動画投稿サイト「ユーチューブ」で同調査のポイントなどを紹介。次世代被害者らが調査の意義に理解を深め、被害を自ら語るきっかけになれば、としている。
 食用油に混じったダイオキシン類など有害化学物質は、摂取した母親の胎盤から胎児へ、母乳から乳児へ移行した可能性があるが、被害の全容は明らかでない。アップした動画は約6分で、YSCが昨年独自に実施した次世代調査の結果を紹介。「子どものころから疲れやすい」「歯がボロボロでほとんどない」「2歳で人工肛門手術」など次世代の症状を挙げ、「油を食べていないのに親たちと同じ病気で苦しんでいた」と指摘している。
 また、一部の研究者が次世代影響を否定するなど調査が進まなかった背景にも言及。現状について「国も政治も、深刻な健康被害に苦しむ子どもたちの救済に乗り出そうとしている。その一環として(今回の)次世代調査がある」と強調し、「成功の鍵は、どれだけ多くの被害者が調査に参加するかにかかっている」と訴えている。
 油症患者である親の多くが差別や偏見を恐れ、油症のことをわが子に話すのをためらう状況がある。YSCの伊勢一郎事務局長は「今回の調査の必要性について、次世代や親御さんに共感してもらいたい」。動画に出ている次世代被害者、下田恵さん(32)=諫早市=は「より多くの人に油症や調査について知ってもらいたい」と話す。
 動画はカネミ油症被害者支援センターのホームページから見ることができる。