トヨタ、WRCスペインでの両タイトル確定目指す。オジエ「3日間すべてがターマックで行われるのは歓迎」

 WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは10月14~17日、スペインのサロウを中心に開催される2021年シーズン第11戦スペインに、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組の3台のトヨタ・ヤリスWRCで出場する。

 ヤリ-マティ・ラトバラ代表が率いるチームは、ドライバー選手権およびマニュファクチャラー選手権タイトルが確定する可能性があるこの1戦にチーム一丸となって臨み、シーズン9勝目と両タイトルの獲得を目指す。

 エバンスが今季2勝目を挙げた前戦フィンランドと同様に、2年ぶりの開催となる『ラリー・スペイン』。ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両路面を走行する“ミックスサーフェスラリー”を最大の特徴とする同イベントだが、今季は前回オールターマックラリーとして行われた2009年以来、初めてすべてのステージを舗装路で行う形式に改められての開催となる。

 そんなラリー・スペインは14日(木)にシェイクダウンが行われた後、翌15日(金)から競技がスタート。初日は新しいステージを含む3つのステージで計6本のSSが行われる。2日目の16日(土)はサービスパークの東北エリアで6本のSSを走行し、1日の最後にはサロウの海岸近くで市街地ステージが行われる予定だ。
 
 ラリー最終日の17日(日)はサロウの西側で2本のステージを各2回走行するスケジュールとなっており、最終SS17はトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。SSの合計距離は280.46km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1410.29kmだ。

 この大会に挑むTOYOTA GAZOO Racing WRTは第10戦終了時までに8勝をマーク。チームはマニュファクチャラー選手権において、ランキング2位のヒュンダイを61ポイントリードしている。今回のスペインでは最大52ポイントを得られるため、トヨタは2018年以来2回目となるマニュファクチャラーズタイトルを今戦で決めるチャンスを有している。

エルフィン・エバンス(左)とセバスチャン・オジエ(右)

■ラトバラ「スペインのターマックステージはWRCの中で最高」

 またドライバー選手権では、前戦終了時点でランキング首位のオジエと、同2位エバンスのふたりにタイトル争いが絞られた。両ドライバーの点差は24ポイントで、結果次第ではスペインで過去3勝を挙げているオジエが通算8回目となるワールドチャンピオンに輝く可能性がある。

「スペイン、そしてターマックラリーに戻れることをとても楽しみにしている」と語るのは、今季のタイトルにもっとも近い場所に居るオジエ。

「スペインのターマックステージは運転がとても楽しく感じられるので、ラリーの3日間がすべてターマックで行われるのは歓迎だ。初日にルーズグラベルを掃除する作業が必要がないのも、私たちにとってはいいことだ」

 対するエバンスは、「ラリー・フィンランドでの優勝は、僕たちにとって素晴らしい結果だった。ドライバーズタイトル争いに関しては依然厳しい状況にあるが、スペインでもう一度ベストを尽くし最高の結果を出したいと思っている」とコメントしている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラは、「WRCがふたたびスペインで開催されることをうれしく思う」と述べ、「今年は昔のようにオールターマックラリーとして開催されるので、なおさら楽しみだ」と続けた。

「スペインのターマックステージはWRCの中で最高だし、私も現役時代は心からドライビングを楽しんでいた」

「もちろん、選手権をリードしている我々のドライバーたちが、初日にグラベルロードを走らなくて済み、路面を覆うルーズグラベルの掃除をしなくていいのも助かる」

「ドライバーズタイトルを獲得できるのが、トヨタのドライバーだけに絞られたのは私たちにとって非常にエキサイティングなことだが、チームとしての最大の目標は、もちろんマニュファクチャラーズタイトルを獲得するために、できるだけ多くのポイントを獲得することだ」

「チャンスは充分にあると思うが、望む結果を出すためには、事前の準備やラリー中の作業をしっかり行う必要がある」

カッレ・ロバンペラは、現在ドライバーズ選手権4位。ランキング3位のライバルとの差は1ポイントとであり、トヨタドライバーの選手権トップ3独占も不可能ではない

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