JALファーストクラスの機内食を食べてみた 鮮魚で空輸のノルウェー産サバを使用【にっぽん食べ歩き】

ノルウェー産サバを主菜とした日本航空国内線ファーストクラスの機内食

 日本でも根強い人気のノルウェーの海産物。中でもサバは年間約12万トンが日本国内で消費されている。従来、冷凍での輸入だったが、この秋、鮮魚として航空便で運ぶことが実現。日本航空が国内線ファーストクラスの機内食として提供するほか、スーパーマーケットでの販売も始まった。(共同通信=中村彰)

 ファーストクラス機内食を羽田空港で試食してみた。主菜は素材のサバの良さをそのまま生かすシンプルな塩焼き。箸でほろりと崩れ、一口頰張ると上品な脂が広がる。気圧の変化で味覚が鈍る機内に合わせて少しだけ塩が強めだが、添えられたユズおろしが程よい加減にしてくれる。硬めに炊かれた北海道のブランド米「ふっくりんこ」との相性は抜群。小鉢のタイやえび芋の煮物は薄味で上品な味わいだった。

 この機内食は朝食限定で、まず9月21~30日の羽田到着便で提供。10月21~31日は羽田出発便で楽しむことができる。

 開発を担当した機内食供給大手、ティエフケー羽田料理部料理グループの小柳英一チーフマネジャーは「冷凍のサバよりも脂が乗っていて、なおかつ日本人の口に合う」と評価していた。

ノルウェー産サバの機内食開発を担当した小柳英一さん=羽田空港

 ノルウェーはサバの漁期を9月下旬から11月上旬に限定している。夏に同国沖で餌を食べて脂が乗った旬のサバを急速冷凍し、年間を通じて船便などで輸送してきた。

 日本航空グループの航空専門商社「JALUX」は20年以上にわたって毎年秋に現地に駐在員を派遣し、年間5000~1万トンのサバを買い付けてきた。駐在スタッフは、冷凍していない新鮮なノルウェー産サバの「日本では味わえない衝撃的なおいしさ」に感動。「日本でも味わえないか」と、昨年から準備を進めてきた。

 今回輸入されたサバは脂肪率約30%、重さ500グラム以上のものに限定。新物を生で提供することから「サバヌーヴォー」と名付けた。

空輸されたノルウェー産のサバ

 サバは漁獲後、海水に入れ生きたまま水揚げ。フィンランドのヘルシンキまで24時間かけて陸送し、同地からの日航便で空輸、水揚げから60時間余りで羽田空港に到着する。コロナ禍が落ち着きノルウェー~フィンランド間で航空便を利用できるようになれば、さらに短縮が可能という。今季は15~20トンの入荷を見込んでいる。

荷下ろしされるノルウェー産サバのコンテナ

 切り身のサバヌーヴォーは、食品中心のスーパー「ロピア」(川崎市)が展開する首都圏の店舗やクイーンズ伊勢丹の都内一部店舗で販売されている。

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