新車の「レクサス IS」購入予算500万円台で、ひとクラス上の高級セダン「BMW 5シリーズ」を中古で買うのはいかが?[どっち買う!?]

BMW3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラス、アウディA4のドイツ御三家を筆頭に、アルファロメオ ジュリア、フォルクスワーゲン パサートなど、上質で完成度の高いセダンがひしめくDセグメント。この戦場には、日本からはレクサス ISや日産 スカイライン、マツダ アテンザ、ホンダ アコードなどが投入されている。その中でも、3代目となる現行型レクサス ISは、デビュー7年を過ぎた2020年ほぼフルモデルチェンジに近い、いわゆる「ビッグマイナーチェンジ」を敢行。室内外デザインの大幅刷新、走りの質感向上を果たし、レクサスの「セダンに対する本気」をうかがわせた。しかしレクサス ISの新車価格帯は480万円〜700万円で、国産車でありながら輸入Dセグメント勢とガチンコ勝負。その価格ならもっと上位セグメントのクルマは買えないのかな? と思うのも不思議ではない。そこで今回は、ひとつ上のEセグメントセダン「BMW 5シリーズ」が、レクサスISの価格帯で買えるかどうか検証してみた。あなたなら、どっちを買う!?

BMW 5シリーズ(7代目)「540i M SPORT」[2017年2月発表] [Photo:茂呂 幸正]

Eセグメントを代表する高級セダン「BMW 5シリーズ」

BMW 7代目5シリーズ「523d Luxury」[2017年2月発表モデル]

「駆けぬける歓び」をスローガンに、数々の高性能スポーティセダンを生み出してきたBMW。SUVラインアップや、前輪駆動の車種も増えてきたものの、依然として後輪駆動のセダンは同社の基幹を形成する。5シリーズは1972年に登場し、2016年本国発表、翌年日本でも発売を開始した現行型は7代目を数える。

7代目5シリーズは、部分自動運転を可能とした革新的な運転支援システムを採用。ライバル車よりも優秀な燃料を実現するなど、Eセグメントセダンのベンチマークとして進化を遂げた。ボディは6代目よりもわずかに拡大され、全長4945×全幅1870×全高1480mmという堂々としたサイズだが、高張力鋼板・アルミニウムやマグネシウム合金を多用したことで、先代モデルと比較して約80kgもの軽量化を達成している。2020年9月発売のマイナーチェンジモデルでは、「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」など安全性能を向上した。

5年落ち・走行5万キロ以下・500万円台で検索!

Dセグメントの「レクサス IS」,1セグメント上に位置する高級車「BMW 5シリーズ」
Dセグメントの「レクサス IS」,1セグメント上に位置する高級車「BMW 5シリーズ」

前述の通り、レクサス ISの新車販売価格帯は480万円〜700万円と幅が広い。そこで今回の記事では、ISのグレードから3.5リッターモデルと「Fスポーツ特別仕様車」を外し、価格帯を480万円から600万円に絞った。一方5シリーズの検索は、年式は5年落ち、走行距離は5万キロとした。

走行距離5万キロ以内、2016年以降の「5シリーズ」の中古車を検索!

▼中古車検索条件▼

・メーカー車名: BMW 5シリーズ

・モデル:2010年式モデル・2016年式モデル(日本での発売は2017年以降)

・年式:平成28(2016)年~令和3(2021)年

・走行距離:~最大5万キロまで

・価格帯:500万円台

・修復歴:なし

(2021年10月8日現在 MOTA調べ)

新車価格が1000万円前後だった直6エンジン搭載車、4WDもターゲットに

写真は「540i M SPORT」

上記のように、5年落ち・5万キロという好条件で5シリーズを検索したところ、36台がヒットした。参考までに3年落ち。3万キロと厳し目にすると22台に減り、価格帯を500〜700万円に変更したところ、61台に増加した。(2021年10月8日現在 MOTA調べ)

2016年から検索条件に入るが、2016年時点では先代5シリーズが販売されていた。そのため、今回の検索に含まれるはずだが、先代5シリーズは表示されず、すべて2017年以降の現行型が対象となった。

本体価格が安い順にソートして見ていくと、まず508万円で、魅惑の3リッター直6ターボエンジンを積んだ「540i ラグジュアリー」が出てくる。2018年式で、走行はわずか1.8万キロだ。500万円オーバーは絶対的には安くないが、新車当時の540iラグジュアリーは1035.8万円もしたのだから、値落ち幅は3年で50%以上(!)に達する。これは、お買い得というほかない!?

さらにこの物件には、キーによるリモート・コントロール・パーキングが可能な「イノベーションパッケージ」(29万9000円)、電動パノラマガラスサンルーフ(22万9000円)など盛りだくさんのオプションが装備されるのも加味したい。

さらに、同じ540i(なお、書き忘れたが540iの最高出力は340psもある)でも、新車時が1050.1万だった「Mスポーツ」、同じく1058.2万円で駆動方式が4WDとなる「540i xドライブ Mスポーツ 4WD」までもが、本体価格500万円台前半で買えてしまう。

「530e iPerformance」はPHEV(プラグインハイブリッド)だ

540iではオーバースペックだ、という人には、「530i」(2リッター直4ガソリンターボ、252ps)、「523d」(2リッター直4ディーゼルターボ、190ps)のほか、プラグインハイブリッドモデルの「530e」(2リッター直4ガソリンターボ+モーター、トータルで252ps)も選べる。

いずれも新車では700〜800万円台だったので、こちらも値落ち感はかなり大きいと言えるだろう。

走る楽しさとラグジュアリー性を両立した「5シリーズ」という選択肢はいかが?

車体の大きさを感じさせない軽快な操縦感覚、Eセグメントセダンらしい圧倒的な高級感、落ち着いた内外装デザインなどを兼ね備える5シリーズの魅力は、とても大きい。

安全装備についても、先進運転支援システム(ADAS)として「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」、自動運転技術を部分的に実現した「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」などを満載。未だ一線級の装備を備えている。

BMW 3シリーズの新車と中古の5シリーズを比較してみるのもあり!

BMW 新型3シリーズ

レクサス ISも、プレミアムカーとして作り込まれたクルマだが、セグメントがひとつ上がったクルマは、プレミアムセダンとしての装備や風格がより一層盛り込まれる。新車価格で200、300万円以上高いのには、理由があるのだ。

そんな5シリーズが、わずか数年落ちで、Dセグメント車の価格に降りてきているのは驚きである。今回はレクサス ISの新車と比較検討したが、同門で新車価格600万円以下の「BMW 3シリーズ」でも当てはまる。

「どっち買う!?」のコーナーで「そうか、こんな視点でのクルマ選びがあるのだ!」と思ってもらえたら幸いだ。

[筆者:遠藤イヅル/撮影:茂呂 幸正・ビーエムダブリュー・島村 栄二・LEXUS]

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