遅れてやってきたペルセウス座流星群の極大 ペルセウス座流星群の一夜を捉えた動画も必見

【▲カナダ・オンタリオ州ウェストミース展望台で観測されたペルセウス座流星群を合成した画像(Credit:Pierre Martin)】

今年(2021年)のペルセウス座流星群は、8月13日午前4時頃(日本時間)に極大を迎えました。月明かりの影響も少なく、とても良い条件だと言われていましたが、日本国内は雨や曇り空のところが多く、残念ながら天候には恵まれなかったようです。

北米では、流星群のピークは8月12日、13日の夜と予想されていました。ところが、その1日後の8月14日未明に、1分間に何個もの、時には1秒間に何個もの流星を観測したという報告があり、ペルセウス座流星群の驚くべき「大爆発」が起きていました。

冒頭の画像は、暗い夜空から降り注ぐ「流星雨」を合成したものです。8月14日の02:50 am EDT(米国東部標準時)から05:00 am EDTまでの間に、カナダ・オンタリオ州ウェストミース展望台で観測された282個のペルセウス座流星群が記録されています。

ペルセウス座流星群は、母天体であるスイフト・タットル彗星による塵の中を地球が通過することに関連していると言われています。今年の大出現は、「ペルセイド・フィラメント」(Perseid Filament)と呼ばれる、より広いデブリゾーンの中にある高密度のリボン状の塵に、予期せず遭遇したことが原因ではないかと考えられています。

こちらは、今回のペルセウス座流星群のピーク時に、ヒマラヤ山脈の標高4,500 mに位置する、インドのハンレにあるインド天文台(IAU:Indian Astronomical Observatory)の上空を撮影した動画です。

映像が始まると徐々に夜になります。左から天の川銀河の中心面が近づき、頭上には地球を周回する衛星が飛び交っています。

やがて、通常は1秒もかからない流星の閃光が人工的に延長されて映し出されます。ほとんどの流星の緑色の光は、一般的にニッケルの気化によるものです。

その後、オリオン座が昇り、直径2メートルのヒマラヤ・チャンドラ望遠鏡と高エネルギー・ガンマ線望遠鏡(Hagar)の7本の鏡筒の上で流星が閃光を放ち飛び交います。

約2分30秒の動画は、黄道光が先立って輝き、太陽が昇るところで終わります。

Video Credit: Vikas Chander & Dorje Angchuk; Music: Tea Time via PremiumBeat
Image Credit: Pierre Martin
Source: APOD (1) (2)
文/吉田哲郎

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