横浜市神奈川区の旧大口病院(現横浜はじめ病院)で2016年、入院患者の男女3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたとして、殺人罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の第5回公判が11日、横浜地裁(家令和典裁判長)であった。被告人質問が行われ、殺害について問われた被告は「人としてやってはいけないことをしてしまった」と後悔の念を語り、捜査の開始で「正気に戻った」と振り返った。
起訴状によると、被告は16年9月15~19日ごろ、入院患者の女性=当時(78)、男性=同(88)、男性=同(88)=の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入して同16~20日に殺害した、とされる。また、殺害目的で同18~19日に点滴袋5個に消毒液を入れた、とされる。
紺のジャケットにスカート姿で入廷した被告は、消毒液を混入した動機について「自分の勤務中に患者が亡くなるのを避けようと思った」と述べた。そう考えるに至った理由に関し、3人を殺害したとされるおよそ5カ月前に患者の遺族から「看護師に殺されたも同然だ」などと責められた経験が影響した、と語った。
最初に殺害したとされる女性は膝のけがで入院していた。被告は点滴袋に消毒液を混入した理由について「無断で病院を抜け出して、けがをされたら自分が責められると思った」と説明。亡くなったと聞いたときには「当時はほっとしたという気持ちが大きかった」と述べた。