<レスリング>【2021年世界選手権・特集】米ロの強豪と対戦、「差し」からの展開に活路を…男子フリースタイル79kg級・吉田隆起(自衛隊)

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(文・撮影=布施鋼治)

3位決定戦のマットに向かう吉田隆起(自衛隊)

 「シンプルに言うと、下の上。10段階でいうと3~4に届けばいいくらい」

 3位決定戦で2019年U23世界選手権3位のラディク・バリエフ(RWF=ロシア・レスリング連盟)にテクニカルフォールで敗れ、5位に終わった男子フリースタイル79㎏級の吉田隆起(自衛隊)は、自らの世界の立ち位置をそう評した。

 最も印象に残る試合としては、優勝したジョーダン・バローズ(米国)との準決勝を挙げた。「バローズは僕がレスリングを始める前のオリンピック・チャンピオン。今も勝ち続ける理由が対戦してよく分かりました」

 具体的に言うと?

 「日本にはちょっといないタイプ。面と向かい合って、分かりました。後半になってステップを変えてくるなど、バローズのレスリングの幅の広さは本当に勉強になりましたね」

ロシア代表バリエフ(RWF)に挑んだが、現段階では実力差があった

 バリエフとの3位決定戦は?

 「あそこまでやり合えなかったのは初めてだったので、悔いが残りました。バリエフのような柔らかいタイプのレスリングの対策をどんどんしていきたい」

 ひとつの大会で米ロの強豪と肌を合わせたことになるが、吉田は「そこに意識はなかった」と打ち明ける。「1試合でも多く闘えたことはよかったと思いますけどね(計4試合)。自分のやれることだけを徹底してやる感じでした」

 バローズと闘う前の2勝は、いずれも差しからの展開に活路を見出していた。振り返ってみると、そこは新たな発見だった。

 「差しの展開になればイケイケになるので、今後もそういうふうに乗って闘っていきたい」

身近な選手がオリンピック王者となり、「見習いたい」

 東京オリンピックの際には、男子フリースタイル65㎏級で優勝した乙黒拓斗(自衛隊)の練習パートナーとして活動していたので、大きな刺激を受けた。

両ひざをマットにつけて攻撃を仕掛けるジョーダン・バローズ(米国)。世界にはいろんなタイプの選手がいる

 「拓斗に関していえば、中学生のときから知っている。本当に身近な存在がオリンピック王者になった。年下だけど、見習うところしかないですね」

 私生活では拓斗の兄で東京オリンピックには74㎏級で出場した乙黒圭祐(同)とは「近すぎてよく分からない」と言うほど仲がいい。今回も、大会初日と翌日に激励を受けたそうだ。「『ずる賢く、結果にこだわって帰って来い』と言われていたので、ちょっと反省ですね」

 2024年パリ・オリンピックに向けては、オリンピック階級の86㎏級に階級を上げる意向。そのタイミングは決めていない。

 「次の試合は12月の天皇杯(全日本選手権)になると思うけど、今はまだ、どこの階級に出るかは分からない。帰ってから、周囲と相談したい」

 残された時間は少ない。世界と勝負できる差しを、ずる賢く磨け-。