【ドラフト】阪神ドラ1森木大智、体脂肪率7%から“肉体改造” トップ評価も座右の銘は「下克上」

阪神から1位指名を受けた高知・森木大智【写真:宮脇広久】

座右の銘は「下剋上」の背景

2021年の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が11日に都内のホテルで行われ、高知高の最速154キロ右腕、森木大智投手が阪神から1位指名を受けた。高校3年間で1度も届かなかった甲子園を、一転して本拠地とすることになるが、何しろ中学3年の夏に軟式で150キロを計測し「スーパー中学生」と呼ばれた素材。将来の夢は海外へ広がる。

「選んでいただいてホッとしています」。意外なことに1回目の入札では名前が挙がらず、市和歌山高・小園健太投手を抽選で外した阪神の“外れ1位”となったが、1位は1位だ。森木は胸をなでおろした。

幼少の頃、同郷の元阪神・藤川球児氏(高知商高出身)に憧れた。特に、藤川氏が2006年のオールスターでアレックス・カブレラ氏(当時西武)に対し、全球ストレートを予告した上で空振り三振に仕留めたシーンの動画は、何度も繰り返し見てきた。「ああいう真っすぐを投げたいと、ずっと思っていました」とうなずく。

今春の四国大会で自己最速の154キロを計測したストレートだけではない。カーブ、スライダー、ツーシーム、スプリット、チェンジアップと変化球も豊富で、1軍デビューは早そうな気もする。しかし、高知中時代から6年間にわたって指導してきた浜口佳久監督は「じっくり、しっかり体をつくってからでいい」と釘を刺す。「それが野球人生を伸ばすことにつながるし、本人は将来メジャーに行きたいと言っていて、それにもつながっていくのではないか」と付け加えた。

陸上選手並みの体脂肪率6~7%から肉体改造中

森木自身「子供の頃、一番最初に憧れたのが藤川さんで、今は世界で一番注目されている大谷翔平選手です」と強調した。

肉体はプロ仕様を通り越し“メジャーサイズ”に達しようとしている。身長184センチで、もともと体脂肪率は陸上選手並みの6~7%。まさに筋肉の塊だが、浜口監督は「そのせいか、よく風邪を引く。プロでは1年中ずっと野球をやらないといけないので、『12~13%は欲しい』という話を本人としていて、今ようやく10~11%になっている。体重も夏の高知県大会敗退後、約3キロ増やして現状で90~91キロ。筋肉量を上げながら、もっと増量させたい」と青写真を明かした。

高知中2年の夏に、全日本少年軟式野球大会で1回戦負けを喫して以降、座右の銘は「下剋上」。浜口監督は「俺たちは一番弱い、一番下から這い上がっていくぞ、という意味でチームのスローガンにした。大智だけがいまだに掲げている」と苦笑する。森木自身は「下から這い上がって頂上に登り詰めるというイメージが、自分に一番響く」と説明した。

浜口監督は「メジャーを目指している日本のプロ選手では、大智が一番下。一番ダメなやつだと自覚させてから、プロへ送り出したい。這い上がってみろ」と熱いエールを送る。将来、森木が甲子園からメジャーへ活躍の舞台を移す時、スピードガンはどんな数字を表示しているのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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