日暮里・舎人ライナー全線で運行再開 5強地震から4日…

東日本大震災以来10年ぶりに東京23区で最大震度5強を観測した地震から4日がたった10月11日、東京都の新交通システム「日暮里・舎人ライナー」が始発から全線で運行を再開しました。周辺住民にとっては待ち望んだ復旧となりました。

東京都交通局によりますと日暮里・舎人ライナーは脱線した車両以外にも複数の車両に損傷箇所が確認されたため、再開となった11日は通勤時間帯には通常より1割ほど本数を減らして運行し、バスによる振り替え輸送も行われました。

<魚が跳ねて地震予知? 謎の「集団ジャンプ」その理由は>

ところで、震度5強を観測した今回の地震で"ある映像”が話題になっています。

東京・江戸川区を流れる旧中川の国交省荒川下流河川事務所の映像に、突然大量の魚が一斉に飛び跳ねる様子が捉えられていました。そして、魚が跳ねたそのわずか数秒後、カメラは激しく揺れ始め、鳥が飛び立つ様子が撮影されています。この映像を見た人たちからは「川の魚が地震を予知したのでは」とSNSを中心に話題となっています。

これが地震を予知していたとしたら朗報ですが、地震予知を長年研究している東海大学海洋研究所の長尾年恭客員教授によると「魚が跳ねたのは予知ではなく、地震のP波に反応したため」ということです。地震にはP波とS波の2つの揺れを伝える波があります。P波は伝わる速度が速く、細かく小さい縦揺れという特徴があります。一方、S波は伝わる速度が遅く、強く大きな横揺れとなります。緊急地震速報もこのP波とS波を使って出されています。

長尾教授は魚が跳ねたおよそ9秒後にカメラが激しく揺れたことに注目しています。撮影地点から震源までの距離、そしてP波とS波の到達時間の差から、先に到達したP波に魚が反応し、それから遅れること9秒後に到達したS波に驚いて鳥が飛び立ったと見るのが自然です。残念ながら魚が地震を予知したわけではないようです。

今回の現象はP波とS波の速度の違いですが、ここで新たな疑問が生まれます。魚は後から来た大きな揺れには反応しませんでした。これはなぜでしょうか。実はP波は水中を伝わりますが、S波は水中を伝わりません。このため、水中の魚はS波による大きな揺れには反応しなかったのです。

長尾教授は動物が持つ特別な力を地震予知につなげたいという思いを持っているということですが、今回の現象も残念ながら「予知」には直結しないようです。しかし少しでも早く地震を察知できれば助かる命も増えることから、研究者の皆さんの努力が実を結ぶ日が来ることを期待したいものです。

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