北朝鮮が極超音速ミサイル公開 中国軍のDF17と酷似

By Kosuke Takahashi

北朝鮮の国営メディアは10月12日、核ミサイルや新型の極超音速滑空ミサイルなど多数の兵器を公開した。金正恩(キム・ジョンウン)総書記が出席した国防発展展覧会「自衛―2021」開幕式に合わせて、20枚を超える写真を掲載した。

この展覧会は、北朝鮮が過去5年間に開発した兵器を集め、首都平壌にある三大革命展示館で11日に開幕した。

中でも目を引く写真が、北朝鮮が9月28日に試験発射した極超音速滑空ミサイル「火星8」を写したものだ。

左から順に北朝鮮最大の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の火星16、火星15、極超音速滑空ミサイルの火星8、中距離弾道ミサイル(IRBM)の火星12(写真:労働新聞)

上の写真では、左から順に北朝鮮最大の大陸間弾道ミサイル(ICBM)で未だ試験発射されていない火星16、2017年11月29日に試験発射されたICBMの火星15、極超音速滑空ミサイルの火星8、2017年に3回試験発射された中距離弾道ミサイル(IRBM)の火星12の姿が写っている。

火星8は、大きなブースターの上に滑空弾頭が取り付けられた滑空体(boost‐glide vehicle)の設計になっている。オレンジ色の線が入った滑空弾頭はブースターの直径より小さく、左右と上下部分に4つの操舵翼を有しているように見える。

極超音速滑空兵器(HGV)をめぐっては、ロシアがアバンガルド、中国が東風17(DF17)、アメリカがAGM-183AとHCSW(極超音速通常攻撃兵器)をそれぞれ開発してきた。このうち、アメリカはHCSWの開発を中止した。

中国軍の極超音速滑空ミサイル東風17(DF17) (中国国際電視台の動画から)

ロシアのアバンガルド、中国のDF17、アメリカのAGM-183Aのうち、北朝鮮の火星8は中国のDF17と形状が酷似していることが改めてわかる。北朝鮮がDF17を模した可能性が高い。

令和3(2021)年度版防衛白書によると、DF17は、短距離弾道ミサイルのDF16をベースに開発されたとされ、極超音速滑空兵器を搭載できる準中距離弾道ミサイル。最大射程は1800キロから2500キロで、2019年10月の中国建国70周年を記念した軍事パレードで初めて登場した。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は9月29日に火星8の試験発射を報じた際に、極超音速ミサイル開発が今年1月の第8回朝鮮労働党党大会で提示された国防5カ年計画における「戦略兵器」最優先5大課題の1つだと伝えた。

北朝鮮の首都平壌にある三大革命展示館で開幕した国防発展展覧会「自衛―2021」(写真:労働新聞)

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