「ペンは剣よりも強し」は忘れられてしまったか。最近は「ネットは剣よりも強し」という時代だ。言葉が時としてゆがんだ力を持つ。ネット上の誹謗（ひぼう）中傷や人格の攻撃が原因で自殺に追い込まれる人も
▼そんな風潮に異議を唱える勇気ある行動だと思う。コラムニストの伊是名夏子さんや、職場のヒール靴強制に反対する運動「＃KuToo」に取り組む石川優実さんらが会見し、ネット上での差別的な発言を防止する法制化を訴えた
▼差別や偏見、不条理を見過ごさず、発言してきた伊是名さんや石川さんたち。声を上げるだけでも勇気のいることなのに、一部の人から心ない攻撃にさらされている
▼ネット上にあふれているさまざまな言葉が、ちょっとした弾みで刃となり、一つの方向に向く。何て貧しく不寛容な空間だろうか。それはネット以外にも広がり、攻撃対象を捜す。被害に遭ったのは、沖縄
▼2013年1月にオスプレイ配備反対を訴え、東京大行動があった。銀座で抗議の行進をする県内の市町村長らに対し「嫌なら日本から出て行け」の罵声が飛び交った。沖縄は差別される対象ということを目の当たりにした
▼女性、子ども、高齢者、障がい者、性的マイノリティーなどいろいろな価値観を持つ人がいる社会の方がずっと豊かだ。差別との闘いを、伊是名さんたちだけに任せるわけにはいかない。
