平戸市長選 一騎打ちの両候補者に聞く

松本和之氏(右)、黒田成彦氏

 任期満了に伴い10日に告示された平戸市長選は、行政書士、元市水道局長で新人の松本和之氏(67)と、4選を目指す現職の黒田成彦氏(61)による一騎打ちとなり、17日の投開票に向け、論戦が繰り広げられている。立候補の動機をはじめ、今年4月に始動した観光施策「城泊」事業などについて両候補に聞いた。
=届け出順=

■質問
(1)立候補の動機
(2)争点
(3)「城泊」事業
(4)次期市政の課題
(5)趣味・特技、自己分析など

◎松本和之氏(67)=無所属・新= 生活に直結した課題から

 (1)「無投票阻止」。黒田市政は2期目、3期目が無投票で市民の声が市政に届いていない。
 現状の厳しさばかりで、夢がなければ未来がなく、市民も希望が持てない。市役所そばの木引田町商店街の一角を活用した、複合商業施設建設構想などを配布資料で紹介した。将来の目標として、構想を先に知らせて市民に議論してもらい、行政に意見を挙げ、協働で進めていく手法がいいと思う。
 (2)(無投票が続き)市政に反対する人の意見が見えてないと、よくない結果につながっていく。黒田市政の12年間を見てきた市民が、普段感じている気持ちを選挙で出せると思う。
 (3)平戸城の整備に多額の予算を使っている。城泊もやっているが、本当に今、必要か。市民の大半は無駄だと思っている。
 結果的に市民は事業の内容を知らず、マスコミ報道で知らされた。今は市民生活に直結した課題をやるべきだ。平戸城がある市北部を除き、生月、的山大島、平戸島中南部などは具体的な振興策がない。「なぜ観光振興だけ(なのか)」という思いが住民にある。
 (4)特に少子高齢化が進んでいる。交流人口は増えても地元の人口減少は著しい。歯止めの施策が必要。市内の地域格差解消、ライフライン整備を求められているが、市民は「応えてくれない」という不満を募らせている。市民と行政のコミュニケーションが不足したのが原因ではないか。
 (5)チラシに掲載している商業施設構想図は私が描いた。絵は得意で美術や図工は(成績が)よく、模型も作れる。空手道、社交ダンス、太極拳など指導者資格を持っている。

◎黒田成彦氏(61)=無所属・現=(自民推薦) コロナ禍乗り越え活力を

 (1)3期目後半、新型コロナウイルス感染拡大から平戸も経済が悪化した。いかに市民の暮らしを元に戻すか。次の任期のスタートに「コロナ禍を乗り越え、元気な平戸への復活宣言」のスローガンを掲げ、多くの人が安心して集う、安らぎと活力のある平戸にしたい。途上にある政策もあり、しっかり完結させたいという使命感から決意した。
 (2)3期12年間から、もう1期務めることへの評価。
 (3)コロナ禍で市政懇談会など直接、市民の意見を聞く機会が無くなっているのは事実。総合計画に平戸城大規模改築は盛り込まれているが、「城泊」は市が(主導して)積み上げてきたものではない部分がある。訪日客の地方都市への観光ニーズが高まっている。国からの提案、事業費補助を受け、交付税措置がある起債を組んだ。市の負担は運営会社からの施設利用料収入があり、10年で相殺できる。その後は市の収入になる。元々、倉庫として使っていた建物が収入を生む宿泊施設になる。国内外の富裕層向けの事業で、平戸には受け入れられる能力がある。利用を見込む客層にアプローチするのが大事。説明が足りなかった面があるかもしれない。
 (4)人口減少の中で平戸が埋没しないような、移住者が引っ越してよかったと思える施策が必要。コロナ禍の中で、市民の心を回復させることも目指す。
 (5)家族には「鈍感力」が取りえと言われる。同じことを繰り返されるのが苦手。前年と違うことをやろうとするので当初、職員からは好かれなかった。今はそういう覚悟で動いてくれていると思う。座右の銘は「ピンチはチャンス」。趣味は読書。

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