長崎県内倒産 低水準27件 コロナ関連は6件 2021年度上半期

 東京商工リサーチ長崎支店が12日発表した2021年度上半期(4~9月)の県内企業倒産状況(負債額1千万円以上)は、件数が前年同期比4件増の27件、負債総額は50億1千万円で前年同期と比べ26億7300万円増えた。前年同期はなかった新型コロナウイルスに関連する倒産が、本年度上半期は6件発生した。
 新型コロナの影響が出つつあるとみられるが、集計を始めた1971年以降、件数は5番目、負債は13番目に少ない低水準だった。コロナ禍でも低水準が続く理由について、同支店は「資金繰りが厳しい取引先に金融機関が柔軟な対応をしていることや、行政などによる支援策が下支えとなっている」と分析した。
 業種別でみると、サービス業が9件で最も多く、小売業7件、建設業4件、農林水産業と製造業がそれぞれ3件、卸売業は1件。従業員数別は「1~4人」が23件で小規模事業者が目立った。地域ごとにみると長崎市8件、佐世保市5件、大村市3件と都市部が過半数。原因別では販売不振が23件と大半だった。
 9月単月の倒産件数は10件(前年同期比7件増)で負債総額は4億7千万円。コロナ関連の倒産は3件だった。2014年10月以来の2桁倒産で、件数は今年最多。同支店は「比較的小規模の倒産が多く、今後の推移を見守る必要がある」とした。
 同支店は今後の見通しについて「観光地である雲仙の土砂災害など県内経済に厳しい出来事が起きた。全国的には製造業の半導体不足など懸念材料がある。将来に不安を抱える企業を中心に廃業が増える可能性もある」とみている。

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