【連載】新潟県上越市に巨大店舗誕生の謎(下)~国内最大店舗のマクドナルド上越店

ドライブスルーが2列ある上越店

連載の最終回はマクドナルド上越店を取り上げる。

「マクドナルド上越店」は上越大通り(旧国道18号線)沿いに今年2月にオープンしたが、同店は国道8号線沿いの近隣にあった旧上越店を移転・拡張したもので、敷地面積はおよそ5,000平方メートルと日本最大級の店舗となった。

売り上げは30%以上の増加

上越店がオープンして1年半が過ぎたわけだが、運営する日本マクドナルド株式会社(東京都)のフランチャイジーであるクォリティフーズ株式会社(東京都)によると、売上高の予算比ベースは非公表であるものの、移転前の旧上越店と比べると、キャパシティのアップや最新の設備の導入により売上高は30%以上に伸びているという。

店内には客席166席、駐車場77台のスペースを設けたほか、客席の一角には現在コロナ禍で使用ができないが、日本最大規模のプレイランド(大型遊具)の設置をし、家族連れのお客様専用のスペースもある。また、ドライブスルーでは注文口を2つにし、利便性を向上したほか、上越地区では初めてのマックカフェ、マックデリバリーもスタートしている。

なお、クォリティフーズは1都3県(東京都・新潟県・長野県・群馬県)に店舗を持ち、新潟県、長野県、群馬県内のほぼ全店舗、さらに東京都の渋谷区、新宿区、目黒区、世田谷区、杉並区、中野区などの40店舗、合計152店舗のマクドナルドを運営している。

子ども用のプレイランドも広い上越店

では、百歩譲って、新潟市や長岡市ならばまだ理解できるのだが、なぜ新潟県第3の都市・上越市に日本最大級の店舗ができたのだろうか。旧上越店はクォリティフーズの第1号店として1990年にグランドオープンして以来、約30年間、地域に根差して商売をしてきた。

上越店の成田英二店長は「30年間という長い期間、地域の皆様にご支援いただきましたことへの感謝と、今後もより一層マクドナルドをご愛顧いただけるよう、旧店舗から約200メートル先のより広い敷地に移転したもの。広くなったことで、お客様にもっと喜んでいただけるように施設を充実させたり、マクドナルドの新しいサービスなどを取り入れたりすることができた」としている。

好アクセス条件の上越市

さらに、新潟県上越市は、新潟市、長岡市や隣接する富山県と繋がる北陸自動車道、長野県と繋がる上信越自動車道のジャンクションがあるほか、一般道では、新潟県の幹線道路である国道8号線、また、長野県と繋がる上新バイパスがあり、車での交通の便が良い地域である。一説には「本州の真ん中にある」という人もいるほど、アクセスには恵まれているといえるだろう。さらに、公共交通機関としては、北陸新幹線の上越妙高駅があり、東京から2時間という距離である。

実際に上越店では、ドライブスルーの車のナンバーや駐車している車のナンバーからすると、想定していたより多くの他県ナンバーの車があり、7月、8月の夏休み期間は特に関東県のナンバーが多く見られたという。新店舗においてもオープン以降も多くの常連客が来店しているといい、顧客層は旧店舗と同様にファミリーが中心となるが、新店舗ではマックカフェを併設している効果もあり、30歳代から40歳代の女性客が多くなっているという。また、新潟県と富山県を繋ぐ国道8号線近くであることや、上越市立水族館「うみがたり」も近隣にあることから、長野県、富山県からの観光客も多く訪れているという。

要するに、巨大店舗誕生の裏には、上越市のアクセスの良さと、第1号店の地という理由があったようだ。成田店長は「上越市は、クォリティフーズ社発祥の地として思い入れが深い地域だ。30年間の長い間、弊社を支えて頂いた大切なお客様がいらっしゃる地域として、大切に考えている」とコメントしている。

日本を代表する外食チェーンの「マクドナルド」の国内最大店舗がある上越市はもっと発展する余地を残しているのではないだろうか。

この連載は「なぜ新潟県第3の都市・上越市に最大級店舗が次々とできるのか」というテーマを探るため、全3回に渡って連載してきた。そこで見えてきたのは、上越市が非常に交通アクセスに恵まれている一方で、今ひとつ観光資源が足りないという一面であった。上杉謙信や春日山といったソフト・ハードはある。11月に新たに誕生する市長には、ぜひとも観光面にも手腕を発揮してほしいと願うばかりだ。

マクドナルドハンバーガー

(文・梅川康輝)

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