切符販売のコスト削減 みどりの窓口削減などJR各社の対策とは

近年、JR東日本にとどまらず切符販売のコスト削減が顕著化されてきている。

JR東日本の券売機

JR西日本の「みどりの券売機プラス」のような、オペレーター機能がついた券売機も現れ始めてきていて、技術の進化を感じると共に時代が変わるにつれたコスト削減が行われている現状に、少し寂しさを感じることも多い。

そんな中で今年の5月、JR東日本は2025年までにみどりの窓口のうち7割を削減するという大胆な策を発表した。切符収集を趣味とするの友人が多く、また、旅先でマルス(JRのマルスシステムによって発券される切符)の入場券を買うのをひとつの楽しみとしている筆者としては少し残念な気持ちにもなる。

また、鶴見線は鶴見駅以外全駅の券売機を廃止するなど、それはみどりの窓口だけに留まらない。

大胆な廃止にあたっての理由、時代背景

2021年5月に首都圏231駅、地方圏209駅に設置されていたみどりの窓口。

みどりの窓口

これらを2025年までにそれぞれ70ほどまでに減らす計画だそうだ。実に首都圏で70%以上、地方では60%近い削減となる。

では、なぜここまでみどりの窓口を減らすのか。様々な理由が重なっているようだ。

まず一つ目にチケットレス化推進が挙げられる。やはりこれは大きい要因だろう。これがまず大きな打撃を与えているのは想像の範囲内でもわかることだろう。

みどりの窓口以外での切符の販売割合は年々増加の傾向にある。自動の指定席券売機、えきねっといったネット切符販売の普及は大きく、2010年は5割前後だったのに対しここ3年あたりで7割・8割にまで増加している。

みどりの窓口が切符販売の主力となる時代、というのがもうそろそろ終わりに近いのかもしれない。

そして2つ目が新型コロナウイルス感染症である。これも大きな要因となっているだろう。

コロナ社会で対面でのやり取りが避けられている中、それは切符販売でも同じの模様。やはりみどりの窓口の利用率もコロナ渦に入り減少傾向にあるようだ。

もともとコロナ渦に入り、切符販売自体が減少したことも大きいのだが、当初の自粛ムードが明けた後も対面で切符を買うよりも、スマホでのオンライン販売や指定席券売機の利用が増えていた。それらがさらに増加するという事態になり、おそらくこれも大きな原因だと思う。

切符販売の今後の在り方

切符販売では今後、様々な形態におそらく変わっていくことが予想されるが、これからどうなるのか少しだけ願望も込めて考察してみよう。

今後中心駅のみに限られて設置されることになるみどりの窓口だが、中長距離切符を買うがために中心駅へ向かうということも多くなってくるだろう。

みどりの窓口

しかし、その切符購入のために車で駅に行く、ということがもし地方で特に多くなってくると、車社会化がさらに進み、それによって地方路線のさらなる危機に追い込まれることがあるとするなら、それは避けていきたい。

そして、話せる指定席券売機の設置やオンラインきっぷ販売の促進も進むことだろう。

現在、JR西日本「みどりの券売機プラス」をはじめとした指定席券売機にオペレーター機能の付いたものの設置が始まっており、全国的にみどりの窓口の無くなった駅を中心に設置されている。これは非常に画期的なもので、対面式でないというコロナ渦においても時代に見合った形式となっている。固定費も抑えることができ、合理的と言えるだろう。

しかし、高齢者層などへの普及が遅れること可能性があるということ考えると、これがみどりの窓口の代替手段として考えられるのはもう少し後かもしれない。

そしてネット販売。JR九州やJR東日本をはじめとした鉄道会社ではネット販売限定の割引等も活発に行っており、普及は進んでいる。特に、JR東日本のえきねっと「チケットレス割引」は、通勤通学で広い効果を生んでおり、ライナー列車が続々と特急格上げ措置を取られながらも広い需要を呼ぶ中にはこれも少しは効果を生んでいるだろう。

最後に

日本の鉄道は、自動改札機の導入やICカードの普及など、時代に沿って様々な発展を遂げ、適応してきた。長年時代を支えた「みどりの窓口」をはじめとした切符販売という文化も、いずれ終わりを告げる時が来るかもしれない…。

写真:Nesozn(twitter.com/nesozn)氏の許諾を得て使用

【著者】はこはま

神奈川県東部で育ち、横浜に住む。関東地方、北海道地方を中心に色々な地方でマルチな視点から記事を執筆。Twitterフォローもよろしくお願いします!!

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