V逸ホークスを震撼させた〝孫正義砲〟の真意は… カネは出すが口は出さないオーナーの嘆き

孫オーナーのツイートは破壊力抜群だった(左は王会長)

ソフトバンクの5年連続日本一の道が、日に日に険しくなっている。13日の楽天戦(楽天生命)は、9回に守護神・森が打たれてサヨナラ負け。CS進出を争う3位・楽天との差は、残り8試合で6ゲームに広がった。

本社サイドからも嘆きの声が上がっている。ただ、チームのBクラス決定が間近だから…というだけではない。総帥・孫正義オーナー(64)のツイッターでの発言の真意が、世間に誤って伝わっているからだという。

9月16日、午後8時57分。ツイッターフォロワー数290万人を超える孫オーナーは「攻めよ。勝ちたいなら。」と発信。不甲斐ない戦いで引き分けに終わったロッテ戦の試合中だったため、世間では様々な臆測を呼んだ。もっぱら拙攻、不振続きのチームへのゲキと野球ファンを中心に受け止められた。

だが、真相は違った。多忙なビジネスの合間に読書をしていた総帥は、時代小説の中で見つけた名言に感銘。その言葉こそが「攻めよ。勝ちたいなら。」だったという。ソフトバンクグループ関係者は「孫オーナーは発信力のある自身のツイッターを通じて多くの人に、その名言を知ってほしかったようです。ですからグループ社員、ソフトバンク球団、特定の組織に向けて発したわけではなく、すべての人に向けて発したものでした」と明かす。

推測による誤った解釈が定着しかねない現状に、孫オーナーは心苦しい日々を送っているという。カネは出すが、口は出さない――。その姿勢は、2005年にホークスを保有してから一度もブレたことがない。編成面や運営面などの一切を、王貞治球団会長(81)以下の球団スタッフに一任するスタンス。それが球界内で「現場にとっては最高のオーナー」と言われてきたゆえんだ。

過去のツイッター履歴を見れば分かるが、投稿頻度は高くない。頻繁に発信するものではなく、意味あるメッセージを都度投稿するのがスタイル。「世界の孫」だけに、わざわざ追記する形で補足説明するものでもないだろう。

そんな中で「真意」が誤って受け取られ、それが最終的に現場、シーズンを戦っている選手や首脳陣に少なからず影響を与えていないか――と、孫オーナーは気をもんでいるようだ。

発信力があるだけに、瞬く間に話題となる〝孫正義砲〟。本来は世界を股にかけ、ビジネスに没頭する人間だ。今回、周囲に球団への悪影響を懸念する考えを明かしていることは、それだけホークスのことを日ごろから気にかけている証拠とも言えそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社