「消化しないと自分は変わらない」 元巨人・鈴木尚広氏が説く失敗との向き合い方

巨人で走塁のスペシャリストとして活躍した鈴木尚広氏【写真:荒川祐史】

期待値の高い中で盗塁を決める勝負強さはファンを魅了した

巨人で現役生活20年を送り、通算228盗塁をマークした鈴木尚広氏。現在は都市対抗野球出場を決めた社会人野球の日本通運などで臨時コーチを務めたり、少年野球教室でもスライディングの極意を披露するなど、後進の育成に尽力している。現役の晩年は僅差の場面で代走として起用されることが多かった。どのように緊張との向き合っていたのだろうか。その答えは少年野球でもヒントになるようなものだった。

鈴木さんは試合終盤の緊迫した場面で代走として起用された。盗塁を決めるかどうかが、勝敗に直結する。息を呑む周囲と対照的に、それほど重圧は感じていなかったという。

「あれこれ考えていては何もできません。失敗は消えませんが、勇気を持って踏み出す。勇気を生み出すのは準備と自信。塁上は勝負するところであって、考えるところではないんです。考え尽くした上で盗塁のスタートを切るので、意識するのは反応だけです」

積み重ねてきたものへの自信があれば、失敗への恐怖や重圧は小さくなる。過去に盗塁を失敗した時と同じバッテリーやシチュエーションであっても「過去の自分と今の自分は違う。成長を遂げている自分に自信を持って、盗塁に挑んでいました」と怯むことはなかった。

失敗をそのままにしない、日付は変わっても自分自身は変わっていない

「走塁のスペシャリスト」としての美学もあった。「ホームに還るのが仕事。期待値が高い中で、サラリとこなした方がかっこいい」。鈴木さんは、成功の内容にもこだわった。ギリギリでセーフになるのではなく、余裕を見せられれば、次回以降の対戦で優位に立てる。難しい仕事をやり遂げた時も「表情から悟られることもある」と涼しい顔を崩さなかった。

「失敗を今、消化しなければ、あすになって日付は変わっても、自分自身は変わっていません。前に進むためには、やり残さない。自分から野球を取ったら何が残ると思っていました」

子どもの頃、思い切りバットを振って打球を遠くまで飛ばした喜びは、プロになっても忘れることはなかったという。大好きな野球を続けたい。悔いを残したくない。その気持ちが前に進む原動力となり、やり抜くことが強さと自信につながった。

20年間のプロ生活を「いつも、くそっ、負けるかと思っていました。相手というより自分との勝負でしたね」と振り返った。今すぐに失敗を修正し、その失敗を成長に変える。一歩一歩の蓄積が、勝負を決める一歩へとつながっていた。

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