SDGsに取り組む企業、7割を超える。理由は「社会的責任」「株主の要請」「企業価値向上」

 SDGsに取り組む企業が増えている。SDGs(Sustainable Development Goals)は「持続可能な開発目標」と訳されるが日本人にとっては理解しにくい表現だ。SDGsとは貧困、紛争、気候変動、感染症など人類が直面する数多くの課題を解決し「持続可能な世界」を実現するために取り組むべき国際社会共通の目標で、2015年に国連において採択された30年までの長期的開発の指針のことである。

 日本能率協会が7月と8月に企業経営者を対象に「当面する企業経営課題に関する調査」実施(回答:517社)、この中の「SDGsへの取組状況と課題」に関する部分について、10月6日に結果レポートを公表している。これによれば、「SDGsを知っているか」と尋ねた結果では、「知っている」が80.1%、「ある程度、知っている」12.8%で、両者を合わせると92.9%となり、初めて9割を超えた。ちなみに昨年20年は88.4%、19年76.9%、18年61.8%であった。レポートでは「投資家からESG経営への取り組みが求められるようになり、また、地方創生の一環として、各自治体が地域におけるSDGsの普及に取り組んでききたことが影響している」と分析している。

 SDGsの「取り組み状況」について尋ねた結果では、「具体的な目標を設定して取り組んでいる」が30.4%で昨年に比べ5.2ポイント増加、「具体的な目標の設定はしていないが、SDGsに沿った活動を行っている」が44.1%で同7.6ポイントの増加となっており、両者を合わせると74.5%となり昨年より12.8ポイント増加し7割を超えた。規模別では中堅企業で前年比17.4ポイント増加の76.8%、中小企業で16.1ポイント増加の55.4%と中堅・中小企業で取り組み企業が大幅に増加している。

 「重視する取り組みの目的」について聞いた結果では、「企業の社会的責任を果たすこと」に対し「非常に重視している」、「重視している」との回答の合計が87.3%と約9割、「中長期的な企業価値を向上させること」同81.8%が多くなっている。また、「株主や投資家からの要請に応えること」同60.3%が前年比5.4ポイントの増加、「中長期的な企業価値を向上させること」が同5.0ポイントの増加と伸び幅が大きく、レポートは「SDGsの取り組みを中長期的な企業価値の向上に結び付けたいという意向が高まっている」と分析している。(編集担当:久保田雄城)

日本能率協会がSDGsへの取組状況と課題についての調査。SDGsに取り組む企業が昨年比12.8ポイント増の74.5%と7割を超える。目的は「社会的責任を果たす」87%や「企業価値向上」81.8%など。

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