総理の国会答弁 安倍・菅政権時代と変わらず

 立憲民主党の森ゆうこ副代表は13日の参院本会議代表質問で河井克行元法相が2019年の参院選挙で妻の案里候補を優位にするため、業者を雇い、相手候補の評価を下げるネット工作をしていたことを取り上げ、これこそ「民主主義の危機ではないか」と岸田文雄総理を質した。

 またネット工作費用に自民党本部から河井氏側に提供された1億5000万円(税金を原資とする政党交付金を含む)が使われていたら、税金がネット工作に使われたことになるとし「使われていなかったと(岸田総理に)断言してほしい」と訴えた。

 森氏は「(公職選挙法違反=買収罪=に問われた)河井案里前参院議員の裁判過程で、(夫の)河井克行元法務大臣が業者を雇い、架空の人物を名乗ったブログ記事で対立候補のイメージ悪化を狙った投稿をするなどのネット工作を行ったことがわかった」と指摘。

そのうえで「日本でも選挙に勝つためにお金を使い、業者を雇ってネット工作を行っているという事実は、陰謀論の類(たぐい)と思っていたが、本当だったのか、と人々を驚かせた。しかも、自民党の法務大臣。これは民主主義の危機ではないですか」と岸田総理の認識を質した。

 また「自民党本部から河井陣営に渡った政党交付金(税金が原資)を含む1億5000万円がネット工作による世論操作に使われていたとすれば、選挙という民主主義の根幹を、税金を使って歪めたことになる」と憂慮し「1億5000万円がネット工作に使われていなかった、と断言してください」と求めた。

 しかし岸田総理は、自身が自民党総裁選挙で強調した「民主主義の危機」の説明をしたのみで、これに答えず、1億5000万円がネット工作に使われていなかった、とも言わなかった。質問に正面から答えず、別答弁ではぐらかす姿勢は安倍・菅政権と変わっていない。

 この日、森氏はネット工作によるフェイクニュースで野党の論客議員を誹謗する一方、政権や自民党タカ派と呼ばれる議員を持ち上げる投稿が目立ったTwitterアカウント『Dappi』 にも言及した。

 『Dappi』 問題を巡っては名誉棄損で立憲民主党の小西洋之参院議員が東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起している。BuzzFeed Newsは、野党議員らを攻撃してきたツイッターアカウントの運営者が『法人』で、自民党議員や自民党支部と取引があると伝えており、自民党議員や自民党支部がどの程度関与したのか、裁判を通して明らかになるかが注視されている。(編集担当:森高龍二)

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