知ってる?コザ名物「三角看板」 復帰前の香り、残したい

 【沖縄】日本復帰前の米軍基地周辺の街でよく見られた、縦書きの英語で店名が書かれたネオンの「三角看板」。復帰後に街並みは変わり、今はほとんど見かけなくなった中、沖縄市城前町のレコードカフェ「アビー・ロード」が7日、三角看板を設置した。店主の「エルビス・ウチマ」こと内間満さん(57)は「三角看板はコザ文化の一つで、なくしたくない。ここから三角看板を増やしていきたい」と話している。

 三角看板は長さ5~6メートルに及ぶ大きな看板。通りに大きくはみ出さないで済む縦向きの看板に合わせ、英単語を縦に表記する沖縄独特の工夫として定着したアイテムだ。しかもネオンが光って目立つため、復帰前の基地周辺の街には「Aサインバー」などの三角看板が並んだ。形状を三角柱にすることで壁との接地面を増やし、台風にも強い構造となっている。だが復帰に伴い米兵相手の飲食店も減り、電気代もかさむことなどから、三角看板は次第に姿を消していった。

 今年に入り、沖縄市の老舗ステーキ店がネオンの三角看板を撤去したことを知った内間さんは「三角看板は小さいころから見た原体験の一つで、無くなるのは寂しい。一つ減ったのなら一つ増やそう」と設置を決めた。市内の老舗看板店「サイン沖縄」の会長で、まちづくりにも長く携わってきた大城貞夫さん(71)に相談したところ、大城さんは二つ返事で協力を引き受け、7日に店の上に三角看板を設置した。

 設置した看板は長さ約2メートルと往年の「本家」に比べミニチュア版。電気代もネオン看板より低く抑えられるデザインにした。大城さんは「街の景色としての三角看板を復活させようという心意気がうれしい」と話し、「復活」を喜んだ。

 (島袋良太)

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