世知原茶の魅力を全国にPR ブランド「佐世保がじら」設立

世知原茶のオリジナルブランド「佐世保がじら」をPRする林さん=佐世保市世知原町

 「おいしい世知原茶をもっと多くの人に届けたい」-。長崎県佐世保市世知原町の林由佳さん(35)は、世知原茶のオリジナルブランド「佐世保がじら」を立ち上げた。茶葉にハーブを加え、寝起きや就寝前、休憩時間など、日常のさまざまな場面で楽しめる商品を提供している。
 同町出身。世知原は県内有数の茶の産地として知られ、林さんの実家も祖父の代から生産している。
 林さんは大学卒業後、市内の広告代理店でデザイナーとして働いていた。2~3年前から、プライベートで世知原茶のパッケージデザインなどを手伝うように。それをきっかけに、実家の茶園の将来について考えるようになった。
 世知原茶は県内でほとんどが消費され、県外ではあまり流通していないという。そこで「目を引く商品を作って、県外にも販売したい」と一念発起。昨年12月で会社を辞め、以前から興味があったというメディカルハーブについて勉強。茶葉とハーブをブレンドした商品を開発し、今年4月、「佐世保がじら合同会社」を設立した。
 ブランド名の「がじら」は、林さんの「別称」だ。林さんが生まれ育った集落は同じ名字の家が多く、区別するために昔からそれぞれに別の呼び名がある。林さん一家は「がじらさん」と呼ばれ、祖父は自分の茶園を「がじら茶園」と名付けていた。その名前を気に入り、ブランド名に採用した。
 5月から公式ウェブサイトで販売を開始。緑茶と紅茶のほか、ハーブをブレンドした緑茶が数種類ある。ミント入りの「おはよう」は起床時、ラベンダーなどが香る「おやすみ」は就寝前にぴったり。九十九島をイメージしてバタフライピーを入れた青色の茶や、ハイビスカスなどをブレンドした赤色の茶もある。
 デザイナーの経験を生かし、パッケージデザインも自ら担当。自宅で飼っている三毛猫と黒猫をモチーフにした「がじらねこ」というキャラクターを描いた。
 インスタグラムなどでのPRが奏功し、特に関東や関西からの注文が多いという。「嗜好(しこう)が多様化している若い世代の方にもっとアピールしていきたい」と林さん。世知原茶を全国区に-。挑戦は始まったばかりだ。

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