2022年RSC導入予定だった『Gen3』規定が1年延期に。正式披露は12月3日の『バサースト1000』で実施

 オーストラリア大陸最大のツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップは、10月13日付けでステートメントをリリースし、計画では来季2022年の本格導入に向け開発と準備が進められてきた新規定車両『Gen3』に関して「プログラムの導入を2023年のオープニングイベントに延期する」ことを確認。

 その決断に際し、国際的なサプライチェーンで進行中の課題や、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによって引き起こされた国内の混乱など「シリーズの制御外の要因が主な理由のひとつ」だと明かしている。

 約3カ月間にも及ぶシリーズ中断を経たスーパーカーは、この10月末からシドニー・モータースポーツパークでの“4週連続”イベントを開催し、12月初旬にはTCR併催を含む6日間の“フェスティバル”と化した史上最大の祭典『バサースト1000』でのフィナーレを迎える。

 しかし、さまざまな州での移動制限や封鎖措置により、2021年最後の1カ月にレースカレンダーを凝縮することを余儀なくされた現状も、当初の計画どおりに進まない「Gen3テストプログラム制限の一因」となった。

 シリーズはタイトルパートナーのレプコや、フォード、GM(ゼネラルモーターズ)、そして放映権を持つ各局など主要なパートナーと協議した結果、この苦渋の決断に至ったことを説明し、各メーカーそれぞれのホモロゲーションチームであるフォード陣営のディック・ジョンソン・レーシング(DJR)とティックフォード・レーシング、そしてホールデン陣営代表トリプルエイト・レースエンジニアリングは、引き続き「2022年中もプロトタイプの開発を推進し続けていく」という。

 同時に、このGen3規定車両として登場予定の『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1』は、12月初開催となる2021年大会、マウントパノラマでの第64回“グレートレース”の現地12月3日金曜日に、ファンの前で正式お披露目されることもアナウンスされた。

 ここ数週間で開発作業も進捗し、プロトタイプのV8エンジンと空力パッケージの開発が進められ、新型ホイールの生産も始まったGen3プログラムは、従来より以上に「紛れもなく」ロードカーとの相関を持つディメンションを採用。市販車と限りなく近いスタイリングを特徴とするよう設定されており、同時に直近のエアロテストにより、新しいボディパッケージが「より優れたパフォーマンスを発揮する」ことも証明されたという。

従来より以上に「紛れもなく」ロードカーとの相関を持つディメンションを採用するGen3
導入延期決定の背景には「世界的サプライチェーンの混乱が大きかった」とシリーズCEOであるショーン・シーマー

■今季フルタイムデビューを果たしたジェイク・コステッキがティックフォード入り

 今季の『バサースト1000』でラウンチされる2台は、その後もデモンストレーションとして2022年のRSCカレンダーに載るすべてのイベントで走行が実施される予定で、シリーズCEOであるショーン・シーマーは、Gen3導入が「2023年に遅れても、ファンが待望のニューマシンをトラック上で目撃する機会を止めることはできない」と語っている。

「確かにこれはレースへの導入が遅れる決定だが、新型マシンを一般の人々の前で披露するのが遅れることと同義ではない」と続けたシーマーCEO。

「今季のフィナーレになるバサースト1000決勝の2日前に、マスタングとカマロを公開する予定だ。さらに来季は全イベントで2台を帯同し、デモランを実施するとともにファンが近くでこのマシンを観察する機会も設けたい」

 導入延期決定の背景には世界的サプライチェーンの混乱が大きかったというシーマーCEOだが、2021年のスケジュールがずれ込んだことで、クリスマス期間まで各チームは移動を強いられる形となり、時間的な猶予が少なく「望むだけのテスト期間が割けない」ことも考慮された。

「世界的な供給問題を考えると、さらなる車両の開発は依然として課題だ。誰もがトラックに戻ることを望んでおり、3カ月半は我々にとっても本当に長い時間だった。でもまずは12月、バサーストでのフィナーレを楽しみにしよう」

 一方、2021年はマット・ストーン・レーシング(MSR)に加入し、フルタイムデビューを果たした21歳のジェイク・コステッキが、2022年からティックフォードに移籍し、すでに去就が発表されたトーマス・ランドル、ジェームス・コートニー、そして契約延長直近のキャメロン・ウォーターズとともに、マスタングのステアリングを握ることがアナウンスされた。

「来季このチームに加入できることに心から興奮している。過去に多くの成功を収めてきたトップチームであり、その資産は計り知れない。チームが僕に与えてくれた機会に本当に感謝しているし、一緒に戦えることを心から楽しみにしている」とコステッキ。この決定により今季チームに在籍したジャック・ルブロークの離脱も確定している。

2021年は11月30日〜12月5日の開催が決まった『バサースト1000』の会場で、2台が正式披露されることも決定した
2022年からTickfordに移籍することが決まった21歳のジェイク・コステッキ

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