大技&新相棒で〝鬼に金メダル〟!スノボ女子・鬼塚雅が北京五輪へ独占激白

大技の精度を高めれば、金メダルが見えてくる

【Road to Beijing】大技で頂点に立つ! 開幕まで4か月を切った北京冬季五輪に向けて選手らは着々と準備を進めている。スノーボード女子ビッグエアとスロープスタイルで表彰台を狙う鬼塚雅(23=星野リゾート)もその一人だ。前回の平昌五輪後に大きな「決断」を下し、新たな“相棒”で本番に向けてテクニックを磨いてきた。本紙連載「Road to Beijing」第2回では、今季初戦のW杯(スイス、23日開幕)を前に金メダル候補を直撃。大舞台への意気込みや東京五輪から受けた刺激とは――。

――北京冬季五輪まで4か月を切った

鬼塚 五輪もそうですけど、もうすぐ海外で試合が始まるので冬が近づいてきたなというのが率直な感想です。少しずつ寒くなってきましたし(笑い)。この施設(埼玉クエスト)は(着地後)水に濡れるので、暑ければ涼しいんですけど、そういう意味では季節をすごく感じますね。

――スイスで開催されるビッグエアのW杯が今季初戦。テーマは

鬼塚 ただ結果を残すだけなら(力を)抑えて勝てるかもしれません。でも、五輪で金メダルを取るために「キャブダブルコーク1260(逆スタンスから斜め軸に縦2回転、横3回転半)」に挑戦して感覚をつかみたいと思っています。

――大技「キャブダブルコーク1260」は3月の世界選手権(米国)ビッグエアで成功して銅メダル。手応えは

鬼塚 めちゃくちゃありました。実は(世界選手権では)着地がズレちゃったんですよ。スノーボードはこけたり、着地がズレたら「ほぼ0点」みたいな点数が出る競技なんですが、逆に言えばそれでも銅メダルが取れたということ。しっかり着地に成功すれば優勝できるんじゃないかと。それから世界選手権は雪山でしたが、五輪はやぐらが組まれます。そういう環境でも着地できるようにならないといけません。

――前回の2018年平昌五輪はビッグエア8位入賞、スロープスタイル19位。当時の記憶は残っているか

鬼塚 いえ、全然残ってないです(笑い)。

――あまり気にしていないということか

鬼塚 五輪が終わってもちろん悔しかったんですけど、2年後の(20年1月に米国開催の)Xゲーム(のビッグエア)で優勝して悔しさを晴らせたなと。今は新しく挑むという思いが強いですね。(スノボは)他競技と違って五輪が一番大きな大会というわけでもないので、私にとっては一つひとつが大事な大会で「次は絶対に勝ってやる」という気持ちでした。

――前回の五輪後、使用する板を変更した

鬼塚 私は身長(158センチ)に対して足が小さくて22・5センチしかないんですよね。それで板をしっかり踏めないことがあったので、ウエスト幅が細い板を選びました。

――大きな挑戦だった

鬼塚 競技を始めたばかりの人がいろいろな板を使用することはあるかもしれないですけど、選手だったらいないかも。むしろ違うものにして悪くなったと聞くほうが多いですね。私は5歳ぐらいから同じ板を使っていたので、それなりにリスクは大きかったかもしれません。それでもフィットするだろうなと思っていたので。

――東京五輪はチェックしていたのか

鬼塚 友達も出ていたので時間があるときは見ていました。(親交がある)スポーツクライミングの野中生萌ちゃん(XFLAG)が出る日は予定を組んで見る準備をしていましたよ(笑い)。

――東京五輪では同じ“横乗り競技”のスケートボードも話題になった

鬼塚 皆さん結果を残して有名になって普及に貢献している。私も活躍してそういう存在になれたらいいなと思います。

――北京五輪は表彰台に立つことが目標か

鬼塚 ビッグエアは「金メダル候補」と言ってもらっているので、金を狙っていきます。スロープスタイルは自分に合っていないコースの場合、対応能力がちょっと低いのでこちらはメダルを確実に。あわよくば「金も」という気持ちです。

――ちなみにスイスのW杯後は

鬼塚 一度帰国して、次は米国遠征に向かう予定です。ここ(埼玉クエスト)は山の中ということもあって、11月になると紅葉がきれいなんですよ! ただ、今回は2週間の自主隔離があるからもしかしたら来られないかも…。

☆おにつか・みやび 1998年10月12日生まれ。熊本県出身。5歳でスノーボードに出合い、8歳でプロ選手になる。2015年世界選手権スロープスタイルを16歳で制し、大会史上最年少で優勝。17年は3位に入り、日本選手初の2大会連続入賞を果たした。その後、早大に入学して18年平昌五輪はビッグエア8位入賞、スロープスタイル19位に終わるも、20年のXゲーム・ビッグエアを制覇。今年3月の世界選手権ビッグエアで銅メダルを獲得した。158センチ。

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