小澤亜李(声優:土岐川姫菜)×天城サリー(声優:ヒメナ・バルデス)- 「やくならマグカップも 二番窯」テキストブックでは学べない日本

いろんなものを感じることが出来る不思議な作品

――『やくならマグカップも(以下、やくも)』を観られた印象を伺えますか。

天城(サリー):

前半がアニメ・後半が実写になっていることに凄くビックリしました。そこが新しい作品で面白いなと思いました。

小澤(亜李):

アニメは15分と思えないほどの充実感を感じる作品でした。多治見の趣ある町と普通の女の子たちが陶芸を通して色々学んでいく姿に温かい気持ちになれます。後半の実写パートでは多治見の良さがよりわかるので、2度楽しめていいなと思いました。

――お二人は多治見にはいかれましたか。

天城:

遠出が難しいのでないですが、陶気をはじめ気なっています。

小澤:

いまは遠出が難しいので行けていないのですが、陶芸をはじめ多治見は気になっています。

――アニメ『やくも』のドラマに対しての印象を伺えますか。

天城:

言語化するのはなかなか難しいですが、アートは人の心を惹きつけるものがあると思っています。今作ではそれが陶芸で、それこそヒメナ(・バルデス)はメキシコから来日してしまうくらい惹きつけられています。『やくも』を通して色んな人たちを一つにするものが陶芸には秘められているんだなと感じています。私は陶芸に関しては知らないことだらけでイメージもない中で参加したんですけど、河童の大きな陶芸作品もあったりとアニメを通して陶芸の素晴しい文化を学ぶことが出来ていて、そこが素敵な部分だなと思います。

小澤:

焼き物は身近にも色々あって東京でも触れられるので、見るだけでなく触れることも出来るものですよね。(豊川)姫乃たちは高校生ですが凄い真剣に陶芸をやっていて、実際に人間性も作品に反映されている。凄い奥が深いんだなということを改めて感じています。続けていくからいろんなものを作ることが出来る、人生みたいなもので、その点を作品を通して感じています。お話はハートフルで凄く癒されるんですけど、そんな中でも陶芸というしっかりした軸があるので、ハートフルではありながらも職人のいろんなものを感じることが出来る不思議な作品だなと思いました。

共通点のあるキャラだと感じています

――演じられた役に付いてはどのようなキャラクターだと感じられていますか。

天城:

私が演じているのはカタカナの“ヒメナ・バルデス”で、メキシコで(土岐川)姫菜さんの作品を見て日本に来たという明るくて真っ直ぐな陶芸が大好きな女の子なんです。私も日本のアニメを大好きになって日本に来たので、そこが私と同じで共通点のあるキャラだと感じています。

小澤:

私が演じる姫菜さんはとにかく破天荒で人を巻き込むほどの行動力のある人で、思い立ったらそこに行きつくまで徹夜してでも作品を作り上げるというバイタリティーがあるキャラです。私はそんなことないと思っているんですけど、脚本の荒川(稔久)さんからは「いつもの小澤さんで演じてください」と言われました。演じる前は有名な陶芸家のキャラクターなので職人気質でしっかりしているところもあるのかなと思っていたんですけど、「そんなのいらないです。明るくバイタリティーがあって、破天荒なキャラなので宜しくお願いします。」と言われビックリしました。

――天城さんはヒメナについて言われたことで印象に残っていることはありますか。

天城:

「とにかく明るくて、圧が凄い女の子。」と言われました。最初にヒメナが挨拶するシーンでは私が思い描いていた天真爛漫さで演じると、「全然圧がない。」と言われてしまいました。私は元々人見知りなので頭を抱えてしまったんですけど、とにかく「テンションも高く、人を引っ張る明るさでお願いします」と言われました。

――ヒメナはメキシコ出身ということですが、スペイン語を話すキャラなのですか。

天城:

スペイン語と日本語を織り交ぜています。脚本は日本語もカタカナで書かれていたので、最初は混乱しました。

――天城さんはスペイン語も出来るんですね。

天城:

日常会話位のレベルですけど。実際に住んでいたわけではないのでメキシコ出身ならではの情熱・熱さが最初は解らなかったので、日本大好きメキシコ人のYouTubeさんの動画を観て、その方の話し方・発音を意識して演じました。

――面白いですね。スペイン語で演技をするというのは今までにもあったのですか。

天城:

初めてです。スペイン語は早く話すことが多いのでアニメキャラのリップシンクロが合わないこともあって、ちょっとゆっくり目に話してみたり、現場でセリフを足したりということを相談したりして演じています。

――そこは本当にスペイン語を話せる天城さんだからこそできることですね。小澤さんの演じる姫菜はお母さんですが、その親子関係を意識されたことはありましたか。

小澤:

お話を頂いた時はついに母親役が来たかと思いましたが、実際は高校生役だったのでホッとした自分もいます。姫乃役の田中美海ちゃんは年下なのでお姉さん感を出していこうと意識して演じています。1期で一緒に収録した際もコミュニケーションを取りながら演じさせていただきました。同じ高校生ではありましたが、年上を意識して演じています。あまり母親らしくしてしまうと別キャラクターになってしまうので、お姉さん感を意識しながらも弾けられるように演じさせていただきました。

大変なことや達成感は同じなんだなと思いました

――姫乃たちの陶芸ライフをどのように見ていますか。

天城:

私は(久々梨)三華ちゃんが高校に入った姿を見た時から三華ちゃんに引き込まれています。元々、仲良しだったわけではなかったみんなが、共通の趣味となった陶芸を通してこんなにも仲良くる姿を見て「青春だなと。」と私もこんな高校生活を送りたかったなと思いました。

小澤:

陶芸を部活で出来る学校があることは私たちにとっては特別なことのように見えてしまうんですけど、彼女たちの中では生活の中に自然にあることなんです。そうやって身近で触れられるから凄く感性が豊かになっているので、そんな高校生活を送れるというのが羨ましいです。私は部活をやっていなかったので、みんなの姿を見て憧れました。こんなにの楽しいのであればやっていればよかったなと思います。

天城:

私も高校生の時に学校外での活動は参加していたんですけど、学生時代に同年代の子たちと共同作業をしたという事がなかったので、こんな青春を送りたかったなと思いました。

――お二人は陶芸の経験はあるのでしょうか。

天城:

私は今年に入ってから友達とやりました。湯呑を作ろうとしたんですけど貝殻みたいな形になってしまって、陶芸は難しいなと思いました。手を添えれば簡単に出来るのかなと思っていたんですけど、ちょっと親指を中に入れただけでもグニャグニャになってしまったので、本当に繊細な芸術なんだなと思いました。

小澤:

私はまだ経験がないですが、やりたいなと思っています。実は、プライベートで美濃焼などを集めていて、そんな中でこの作品のお話を頂いたので、凄いいいタイミングでお話来たなと思いました。焼き物は凄く綺麗で奥深い世界なので、私も1つ作ってみたいなと思っています。

――この作品はフリーペーパーから始まった作品ですが、その情熱が凄さについてどう感じられていますか。

小澤:

納得の作品熱量だと感じています。ハートフルな作品なんですけどアフレコもとても丁寧にやられていて、安定感があるお芝居も素敵な作品だと思っています。現場でも凄い気合が入っているなというのも感じていました。妥協もなくて、それが作品にも反映されているなと思います。

天城:

それだけみなさんが力を入れられていて、その情熱がこの作品の良さだなと観ながら感じています。その情熱の力もあって私もこの作品で成長できたなと思います。

――「好きな事を追いかけている」ということが作品テーマの1つでもありますが、そのことについては如何ですか。

天城:

私も好きなことがあると後先考えず、ただそこに行きたいという気持ちになるのでヒメナや姫乃たちの気持ちは凄く解ります。好きなものを追いかけている時は本当に楽しくて、生きているということを実感でます。作中でもヒメナが目をキラキラさせて、「陶芸大好きなんです、メキシコから来ました。」と言っているところも、私が「アニメ大好きでアメリカから来ました。」と言っている自分と重なっていて、私も好きなものを追いかけるとこんな風に目がキラキラしているんだなと思いました。

小澤:

私も好きなことが出来ると1点集中してしまうので、その気持ちは凄く良く解ります。陶芸は終わりがない正解がないもので、その点は演技も同じなので壁にぶつかった時の気持ちも凄く解ります。どんなことでも好きなことに熱中していく中での、大変なことや達成感は同じなんだなと思いました。

――お二人とも今も好きなことを追いかけられている中という事ですね。

小澤:

幸せなことですよね。

――いよいよ放送が始まる『やくならマグカップも 二番窯』の見どころを伺えますか。

小澤:

第1期では陶芸に出会って歩み始めたばかりの姫乃たちが、陶芸に触れていってアートは広がりがあって終わり・正解のないものだという事に気づいていきます。そんな中で壁にぶつかってしまう事もありますが、新しいキャラクターとの出会いで新しい発見して、自分の陶芸の道をまた1つ進んでいくその姿が見どころなのでぜひその成長していく姿を楽しみしていただければと思います。

――小澤さんはお母さんの目線ですね。

小澤:

そうなんです。お母さんの目線、子供が成長していく姿を見守る気持ちです。

――天城さんからも『二番窯』の見どころを是非。

天城:

ヒメナは初め片言でスペイン語混じりなんですけど、回を重ねるごとに日本語が増えていって、多治見弁が入ってくるんです。それくらいこの地域の方々と交流して、のめり込んで現地の文化に染まっていきます。そういった姿も見ていただけると嬉しいです。そこも私も実体験として感じられている部分で、テキストブックでは学べない日本を学んでいる姿を観ていただければと思います。

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