明和義人祭実行委員会(新潟市中央区)が新潟市の子ども食堂に「明和義人米」を寄贈

明和義人祭実行委員会の長谷川義明実行委員長(左)から米を受け取る新潟市社会福祉協議会の井浦正弘会長

明和義人祭実行委員会(新潟市中央区)が14日、新潟市社会福祉協議会を訪問し、新潟市内の子ども食堂に「明和義人米」を寄贈した。

1767(明和4)~1768(明和5)年にかけ、新潟湊の町人たちは冷害などの不況や長岡藩からの重税に苦しんでいた。藩への異議申し立てを町民たちが暴力を認めず話し合いで進め、2ヶ月にわたり町の政治を自分たちで取り仕切ったと言われる市民運動を「明和騒動」という。

その明和騒動の義人として伝えられる涌井藤四郎らを顕彰・慰霊する目的で、新潟市中央区の古町通1番町から6番町までを会場に、毎年8月下旬に祭りが開催されているのが「明和義人祭」だ。

祭りでは例年、義人や芸妓、旦那衆などに扮した市民が通りを練り歩く「明和義人行列」などさまざまな催しが行われていたが、コロナ禍の影響で2020年は中止。今年は規模を縮小し開催された。

子どもたちには、福のおすそ分けとして「神菓(しんか)まき」が行われていたが、コロナ禍でスタイルを変更。引換券と菓子を交換する「神菓くばり」として継続している。

江戸の情緒を感じる義人行列

毎年行われていた人気の神菓(しんか)まき

明和義人祭実行委員会の長谷川義明実行委員長は、「明和の時代は冷害などの不況で米がとれず、重ねて重税などで閉塞感が漂っていた。コロナ禍で閉塞感漂う今こそ、明和義人の志を伝承すべく、地域の子どもたちに『明和義人米』をお送りした。明和の義人たちには住民の生活に対する理解が根本にあった。私たちも、米を通じて困っている方の手助けができたらうれしい」と話した。

新潟市社会福祉協議会の井浦正弘会長は「現在、子ども食堂は大変需要が高くなっている。コロナ禍で食堂という形をとるのが難しい中、お弁当や食材をお渡しするなどそれぞれ趣向を凝らして運営されている。米は食事の主役なので、大変ありがたいこと」と感謝を伝えた。

井浦会長によると、明和義人会実行委員会から寄贈された新潟県産米は、現在新潟市内11の子ども食堂から欲しいとの要望が来ているという。今後も希望を募り、11月から来年の7月までをメドに、子ども食堂へ定期的に届ける予定となっている。

「米と一緒に明和義人祭を子どもたちに伝えてほしい」と願いを込めたパッケージ(イメージ)

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