青く優美に渦巻く“きりん座”の銀河、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

【▲ 棒渦巻銀河「NGC 2336」(Credit: ESA/Hubble & NASA, V. Antoniou; Acknowledgement: Judy Schmidt)】

こちらは「きりん座」の方向およそ1億光年先にある棒渦巻銀河「NGC 2336」です。棒渦巻銀河とは、中心部分に棒状の構造が存在する渦巻銀河のこと。渦巻銀河のうち約3分の2は棒状構造を持つとみられていて、私たちが住む天の川銀河も棒渦巻銀河に分類されています。中央で明るく輝く棒状構造と緩く巻き付く青い渦巻腕を持つNGC 2336は、私たちが「渦巻銀河」と聞いてイメージする優美な姿を体現しているかのようです。

欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 2336の直径は約20万光年。同じ棒渦巻銀河ではありますが、NGC 2336は直径約10万光年とされる天の川銀河と比べて2倍も大きい巨大な銀河なのです。雄大に渦巻く渦巻腕の青い色は表面温度が高い若い星が集まっていることを示していて、対照的に赤みがかった色合いの中央部分は古い星が多いことを意味しています。

NGC 2336は1876年にドイツの天文学者エルンスト・テンペルによって発見されました。テンペルは「しし座流星群」の母天体として知られる「テンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)」などにその名を残しています。なお、1987年にはNGC 2336で超新星「SN 1987L」が観測されています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による可視光線と赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Big, Beautiful and Blue」(大きく、美しくそして青く)として、ESAから2021年3月1日付で公開されています。

関連:幻想的なリング構造をもつ棒渦巻銀河「NGC 1398」 ダークエネルギーカメラが撮影

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, V. Antoniou; Acknowledgement: Judy Schmidt
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

© 株式会社sorae