<金口木舌>自粛明けの闘牛

 緊急事態宣言が解除され、街に人通りが戻ってきた。軒並み中止に追い込まれていた闘牛大会も再開されている。一方で先月末、うるま市石川の民家に体重700キロの牛が迷い込んだ。近所で飼われていた闘牛だ

▼牛主の男性が近くの敷地でくいに縄を掛けて運動させていたところ、縄がほどけて逃げたという。警察官が駆け付けると、綱を引きずりながら歩いていた。牛主の知人らが捕まえた

▼2011年にも石川の闘牛場から900キロの雄牛が逃げ出している。国道を北上した牛は約1キロ離れた金武町で、複数台のパトカーに包囲されて捕まった。当時の石川署副署長は「牛は車道の真ん中ではなく路肩を通っていた。交通ルールを守ったようだ」と取材に答えている

▼コロナ禍で闘牛大会の中止が相次ぎ、牛も力を持て余していたようだ。自粛明けを前に羽目を外して逃げたわけではないだろうが、けが人が出なかったのが幸いだ

▼「闘牛の日」の9日、うるま市でイベントも開かれた。10日にはあげな闘牛組合の大会が開かれたほか、11月14日に秋の全島闘牛大会も予定されている

▼長い自粛期間にワクチン接種も進み、牛の歩みのようにゆっくりではあったが感染者数は減った。ただ県は10月末までを感染拡大抑止期間と位置づける。収束させられるかどうかは、引き続き県民一人一人の心掛けにかかっている。

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