M9点灯! ロッテでささやかれる優勝Xデーの“ベストシナリオ”

6回無失点でチームのM点灯に貢献した佐々木朗

ロッテが14日の首位オリックスとの天王山第3戦(京セラ)に6―1で快勝。1970年以来、51年ぶりとなる優勝へのマジック9を点灯させた。打ってはレアードが3戦連続の先制点をたたき出し、投げては先発の佐々木朗希(19)が6回5安打8奪三振、無失点と好投し、8月28日の楽天戦以来となる3勝目(2敗)をマーク。投打の歯車ががっちりとかみ合い、74年以来、47年ぶりの勝率1位でのリーグ優勝が現実味を帯びてきた。そんなチーム内でささやかれる〝Vシナリオ〟とは――。

マジック点灯の立役者となった佐々木朗は「早い回から野手の皆さんが点をたくさん取ってくれたので、思い切って投げることができた。制球があまり良くなかったので、何とか球威で抑えられて良かった。負けられない試合だったので勝てて良かった」と喜んだ。

この日は初めてとなる中6日での先発だったが、影響をまったく感じさせず、MAX158キロの直球を主体に1四球と安定感ある内容だった。

これで首位・オリックスとは0・5差。2位ながらオリックスより残り試合が3試合多いため、7度目の挑戦でついにマジックが点灯した。こうなると気になるのが、球団史上41年ぶりとなる勝率1位での「優勝Xデー」だ。

現時点で最速なら来週半ばにも優勝できるが、チームの理想はやはり「本拠地胴上げ」。緊急事態宣言が解除された10月の本拠地戦は、これまで以上に大勢のファンがZOZOマリンに来場することができる。球団としてはコロナ禍で激減している収益を少しでも補いたいところで、その意味でも「地元で祝杯を」が本音だろう。

チームが照準を合わせたいカードは29日から本拠地で行われる日本ハムとの最終カード2連戦。今後順調なペースでマジックを減らし23日、24日の本拠地・日本ハム戦で優勝を決められればベストだが、まだ首位のオリックスを0・5差で追う立場。最後まで混戦にもつれこんだ際には、この最終カードで決めたいところだ。

加えて、本拠地でのリーグ優勝となれば、佐々木朗の登板試合で決めることもできる。この日登板したことで今後は本拠地での23日、30日の日本ハム戦での先発が濃厚だ。チームに悲願のマジックを点灯させた2年目の怪物右腕が「Vの使者」として胴上げのかかった試合に登板となれば、チームの盛り上がりは最高潮に達する。それが30日のシーズン最終戦となれば…。球団にとって半世紀ぶりとなる歴史的瞬間は、感動的なフィナーレとなるだろう。

球団OBも私見を交えながらこう話す。

「今季のロッテはチーム一丸で勝ち上がってきたため、世間一般に知れわたるスター選手がいないのが現状です。守護神・益田やベテランの荻野、助っ人のレアード、マーティンらがいると言っても、野球ファンを除けば知名度は低いと言わざるを得ない。その点、朗希は今季のここまでの成績こそまずまずも、注目度は他選手に比べ圧倒的に高い。朗希が本拠地戦で登板、優勝を飾るというシナリオがロッテにはいろいろな意味でベストでしょうね」

残り試合は10試合。ロッテは着実にマジックを減らしながら理想的なVロードを突き進めるか。

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