風向き読めない選挙「今回は楽じゃない」 決戦へ走り出した与野党候補

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衆院解散後、一斉に議場を後にする国会議員(14日午後、国会内)

 「万歳」が厳かな衆院本会議場に響き渡ったが、高揚する与党席とは対照的に野党議員の多くは、直立不動のままだった。立憲民主党の山井和則(比例近畿)は苦い表情だった。「この1年半、新型コロナで苦しみ、亡くなった方を思い出すと、万歳する気になれなかった」

 未曽有のパンデミックが襲来し、日本の政治は激しく動いた。7年8カ月にわたる安倍晋三政権があっけなく倒れ、昨年秋に後を継いだ菅義偉も発足当初の高支持率が急降下。総選挙を見据えた自民党は、総裁を岸田文雄にすげ替えた。

 「青息吐息解散だ」。立民政調会長の泉健太(京都3区)はこの日の会見で批判した。自民総裁選で「分厚い中間層」の構築を掲げて安倍・菅政治からの転換をイメージさせた岸田の分配政策は、3日間の代表質問を通じてぶれが見えた。「我々は分配なくして成長なし。同じ言葉でも全く手法、内容が違うことを強調したい」。党幹部として選挙戦の半分は、地元に戻らず全国を遊説して回る。

 一方の与党は政権の実績を訴え、野党の挑戦を受けて立つ。菅に近い自民の武村展英(滋賀3区)は携帯電話料金の値下げやコロナワクチンの接種推進など「菅前政権の成果を中心に訴える」と強調。公明党政調会長の竹内譲(比例近畿)は「何としてもコロナを収束させ、国民の生活と経済を再生させる」と語気を強め、自身が関わった党の公約実現に意欲を示す。

 自民が政権を奪還した2012年以降の3度の総選挙は、首相だった安倍の人気を追い風に選挙地盤の弱い若手も当選を重ねたが、今回は風向きが読めない。12年初当選組で文部科学副大臣に就いた自民の田中英之(京都4区)は「政権政党に対するコロナ対応の不満は受けざるを得ない。今回の選挙は楽じゃない」とこぼす。4期目を目指す環境副大臣の大岡敏孝(滋賀1区)は、「問われているのは9年間の議員活動そのもの。今回の選挙結果は有権者からの『通信簿』だ」と話し、国会を後にした。

 立民との「限定的な閣外協力」で合意した共産党。安全保障法制の強行採決に反対した野党との共闘に踏み出して6年、結党から99年で初の政権選択選挙に挑む。解散を前にした党議員団総会で「団結ガンバロー」の音頭を取ったのは、国対委員長として野党間の連携に汗をかいてきた穀田恵二(比例近畿)だった。

 京都では歴史的な経緯から立民に選挙協力を拒まれたが、10選を目指す穀田は初の小選挙区勝利へ鼻息が荒い。「京都1区でなんとしても風穴を開けたい。唯一の野党の共同候補として勝ちたい」

 国民民主党代表代行の前原誠司(京都2区)にとっては、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の4年間だった。旧民進党代表だった4年前、解散日の両院議員総会で旧希望の党との合流を表明。結果的に失敗に終わり、野党勢力の分裂を招いた。「この4年間は地域に張り付いて家庭や事業所から話をうかがい、政策提言ができた」。衆院選後の中道保守勢力の結集を志し、有権者の審判を仰ぐ。(敬称略)

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 衆院が14日解散され、与野党は4年ぶりの政治決戦に向けて走り出した。京都、滋賀の立候補予定者や政党の動きを追う。