平戸市長選 終盤情勢 松本氏 「批判票」取り込み狙う、黒田氏 組織戦で「圧勝」目指す

市長選、市議選投票日が迫る平戸市。市役所玄関にも投票を呼び掛ける看板が掲示されている=同市岩の上町

 任期満了に伴う平戸市長選は17日の投票に向け、終盤戦に入った。行政書士、元市水道局長で新人の松本和之候補(67)=無所属=、4期目を目指す現職の黒田成彦候補(61)=無所属・自民推薦=が「12年間の黒田市政への評価」を主な争点に論戦を繰り広げる。新型コロナウイルス感染者は減少傾向にあるものの、両陣営は感染防止に配慮しつつ街頭活動を中心に政策の浸透を図っている。
 松本候補は「無投票阻止」を訴え、市民が黒田市政を評価する12年ぶりの市長選を実現させた。経済振興や地域格差解消など、身近なテーマで市民に力強く訴える姿勢を貫く草の根の運動を展開。事務所に集まる有志も徐々に増え、陣営関係者は「有権者の反応の良さを感じる」と手応えを語る。ただ、知名度や組織力で現職に劣ることは否めず、現職の厚い壁を切り崩そうと、批判票の取り込みに懸命だ。
 黒田候補は、強固な後援会を基盤に、組織力を生かした戦いで「圧勝」(陣営幹部)を目指す。コロナ対策、観光振興策のほか、自らのトップセールスで交流人口拡大につなげるなど3期目まで積み重ねてきた着実な成果を強調する。一方で「コロナ禍で市政懇談会などが開催できず、市民の声を聞く場がなくなった」と不安を口にする。陣営幹部も「批判票がどのくらいあるのか、見通せない」と話す。
 平戸市長選の直後には衆院選の公示が控える。長崎4区の自民党公認候補問題に絡み、黒田候補は8月、党県連顧問の立場で「現職優先」の候補選考原則に対し再考を求める文書を県連に提出した経緯がある。党本部決定が15日にも見込まれるが、決着の中身によっては市長選に影を落とす可能性もありそうだ。
 有権者数は2万5656人(男1万2019、女1万3637)=9日現在、市選管調べ=。


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