オコンを捉えようとしたアルファロメオF1。終盤に順位の入れ替えを望むも、ジョビナッツィは指示に応じず

 2021年F1第16戦トルコGPであからさまにチームオーダーを無視したアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)の判断は“理想的”ではなく、ふたりのドライバーがイスタンブール・パークでトップ10フィニッシュを飾ることができなかったのはそのせいだったのかもしれない。

 トルコGPのレース終盤、ジョビナッツィは入賞圏外を走行しており、彼よりも速かったチームメイトのキミ・ライコネンとポジションを替わるように要請された。しかし2022年のアルファロメオのシートを確保するために戦っているジョビナッツィは、指示を無視して代わりに“ペースを上げる”ことを選んだ。

「我々はポジションを入れ替わるよう要請したが、あの時アントニオはペースを上げ始めていたので、彼自身としては前に居続けることに決めた」とアルファロメオのトラックサイドエンジニアリング責任者であるセビ・プホラルは説明した。

「そしてもしかするとあの状況と数ラップにおいて、我々はチームとしてより速くなれる可能性があった」

 ジョビナッツィとライコネンはアルピーヌのエステバン・オコンのすぐ後ろでそれぞれ11位と12位でレースをフィニッシュした。オコンはレース中ピットストップをせず、彼のインターミディエイトタイヤのセットは内部まで摩耗していた。

「オコンを抜くにはあともう1周が必要だった」とプホラルは述べた。

「なぜ我々があの時点で順番を入れ替えることができなかったのかよく理解できなかった。なぜなら双方のマシンを状況によってはもう一度入れ替えることもできたからだ」

「間違いなくチームにとっては理想的なことではなかった」

 プホラルは、どちらが速いかに関係なく、チームが日曜午後のほとんどの時間をレース後半の戦略を立てるというよりは、ドライバーたちのタイヤマネジメントに集中することに費やしたと語った。

「レース序盤では、どちらがより速いかということにはほとんど集中していなかった。多少の差はあれ、両マシンともある程度のところにいた」

「我々はなんとか対処していた。コンディションがどれだけの間あの状態のままなのか分からなかったので、ポジションの入れ替えを迫ったり、キミに激しくプッシュさせてタイヤを早く摩耗させてしまうことをしたくなかった。インターミディエイトのコンディションがあと20周か、30周か、もしくはレース全体で続くのか誰にも分からなかったので、あの段階では、多少のスペースを開けたかった」

「だがレースの終盤には話は変わっていた。その時点では我々はポジションを入れ替えたかった」

2021年F1第16戦トルコGP キミ・ライコネン(アルファロメオ)

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