高卒2年目、ブレーク中の“朗希世代” すでに10勝投手とレギュラー遊撃手を輩出

オリックス・宮城大弥、ロッテ・佐々木朗希、ヤクルト・奥川恭伸【写真:荒川祐史】

マジック点灯賭けた試合で投げ合いも…投手は着々と実績

14日のオリックス対ロッテ(京セラドーム)では、佐々木朗希(ロッテ)と宮城大弥(オリックス)の高卒2年目投手が先発マウンドに上がり、マジック点灯を賭け投げ合った。“朗希世代”として注目された2001年4月~2002年3月生まれ世代の「今」を検証する。(数字は14日終了現在)

2019年のドラフトは、この世代の高校生に人気が集中した。最速163キロ右腕の佐々木朗希(岩手・大船渡高)にロッテ、日本ハム、楽天、西武の4球団が入札し、当たりくじはロッテに。奥川恭伸投手(石川・星稜高)にはヤクルト、阪神、巨人の3球団が入札しヤクルトが引き当てた。さらに石川昂弥内野手(愛知・東邦高)にも中日、オリックス、ソフトバンクの3球団が入札し中日へ。森敬斗内野手(神奈川・桐蔭学園高)はDeNAが単独で1位指名した。抽選に2度敗れたオリックスは宮城を1位指名した。

佐々木朗は1年目の昨季、ほぼ1軍に帯同しながら実戦登板がなかった。今年に入って5月16日の西武戦で1軍初先発、同27日の阪神戦(甲子園)で初勝利と順調にステップを踏み、10試合で3勝2敗、防御率2.51。登板間隔を明けながらも、先発として起用されている。150キロを優に超える直球の平均球速はすでにリーグトップクラスだ。

成績でみれば、現状この世代のトップランナーは宮城だと言えるだろう。1年目から2軍で6勝2敗、防御率2.72を記録し最多勝。11月6日の日本ハム戦で1軍初勝利も挙げた。さらに迎えた2年目は大化け。開幕から5連勝するなど、現在12勝、防御率2.55はともにパ・リーグ2位。

最も実戦的と評価されていた奥川もまた、1年目の昨年11月10日の広島戦で1軍デビュー。3回途中まで5失点だった。今季は16試合で9勝3敗、防御率3.02と優勝マジックを減らすヤクルトで貴重な戦力となっている。いわゆる投げ抹消を繰り返し、きっちり登板間隔を取る起用法も功を奏している。

また奥川を外した阪神が1位指名した西純矢投手(岡山・創志学園高)は2試合に先発し1勝1敗。さらに3位の及川雅貴投手(神奈川・横浜高)は35試合で2勝3敗9ホールドと、今季続々と1軍デビューを飾っている。

阪神・及川雅貴(左)とオリックス・紅林弘太郎【写真:荒川祐史】

野手も遊撃手が続々と台頭、2軍で打点王の大砲も

野手で現在、この世代のトップを走るのはオリックスが2位指名した紅林弘太郎内野手(静岡・駿河総合高)だろう。昨年11月3日の楽天戦で1軍デビューを飾ると、今季は開幕から遊撃手に定着。129試合で打率こそ.227ながら10本塁打するパンチ力を見せている。9月に主砲・吉田正尚外野手が負傷で戦線離脱を繰り返すと変わって3番打者に抜擢。10月10日にはソフトバンク・千賀の剛球を左手首付近に受けながら、2試合休んだだけでスタメンに戻るタフなところを見せた。

森は若返りを図るDeNAで、シーズン終盤に来て遊撃での先発出場が増えてきた。37試合に出場し打率.169ながら、着々と経験を積んでいる。

石川は1年目から1軍デビューを飾り14試合で打率.222。今季は6月25日の2軍戦で左尺骨を骨折し、残りシーズンをリハビリに費やしている。2軍での成績は33試合で打率.238、3本塁打。

阪神が2位で指名した井上広大(大阪・履正社高)は今季、50打点でウエスタン・リーグ打点王。1軍出場はないものの打率.267、9本塁打と着実に成長している。

突出した選手が世代のレベルを引き上げるとはよく言われる。高卒2年目でこれだけの選手が目立った成績を残すのは異例だ。今後社会人や大学に進んだ同級生がプロに入って来た時、どんな化学反応が起こるのか。“朗希世代”の行く末に注目だ。(Full-Count編集部)

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