新潟県が脱炭素社会実現や水素利用の促進に向けた協議会を開催、セクターカップリング構築のため企業が取り組みなど紹介

第4回 新潟カーボンニュートラル拠点化・水素利活用促進協議会の様子

新潟県は15日、脱炭素社会構築を牽引する事業プロジェクトを中核とした「新潟カーボンニュートラル(CN)構想推進・拠点開発計画」の策定に向け、第4回新潟CN拠点化・水素利活用促進協議会を朱鷺メッセ(新潟市中央区)メインホールで開催した。

新潟県では3月、同協議会の中間とりまとめとして「新潟県CN産業ビジョン」と「事業モデル展開ロードマップ」を策定。県産業労働部の佐野哲郎部長は冒頭挨拶で「本年度、庁内では『CN実現戦略プロジェクトチーム』も立ち上げ、脱炭素社会実現に向けた検討を行っている。2050年のCN実現に向けて、新潟県がこれからもエネルギーの分野で確固たる地位を獲得できよう産学官がこのように連携していくことが重要」と語った。

佐野哲郎部長

協議会後、座長を務める東京工業大学エネルギー・情報教育院の岡崎健特命教授は「多くの地域でCNの活動は始まっているが、新潟はその中でも走りの一つでもあると同時に、ガス田や油田があることからCCS(二酸化炭素を地中に貯留すること)も可能なうえ、ガス田の首都圏へのパイプラインがすでに存在している、という特殊な環境を持ち合わせている」と新潟への評価を述べた。

そしてこの素地を活用し、供給側となるエネルギー系と素材系の連携を高めていくことが必要であるという。その中で今回の会議では、エネルギー企業から電力会社、交通系、製造業など様々な分野の企業が集まり、各々の意見・要望や取り組みの紹介をしていった。今後のセクターカップリング構築の可能性には注目だ。

岡崎特命教授も「新潟は色々な種類の基幹産業が揃っている。それらが競合するのではなく、お互いに連携することで、県としてのカーボンニュートラルへ向けた非常に大きな力を発揮できるポテンシャルがある」と期待を高める。

また、新潟港がカーボンニュートラルポートを検討する6港に選定されたことから、新潟市を中心とするエリアが話題の中心となってきた趣があるが、今回の討議では上越・中越エリアで創出が期待される事業モデルに関して、関連企業からの意見も出たようだ。

(文・鈴木琢真)

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