DeNA・宮崎FAでもソフトバンク静観か 慎重論の裏にリチャード台頭ともう一つの要因

DeNA・宮崎(左)とソフトバンク・リチャード(東スポWeb)

未来を感じさせる打撃に評価はうなぎ上りとなっている。8年ぶりのBクラス危機に陥っているソフトバンクで、明るい光となっているのがリチャード内野手(22)だ。

9月に一軍デビューしたばかり。打率は1割8分と低いが勝負強さが魅力で、29試合で7本塁打、17打点と長打力を見せている。球団内からも「ここぞという場面で打っている。まだ一軍1年目の22歳ですよ。ものすごく将来への希望を感じさせてくれる」と期待が集まっている。

そんな中でチーム内からはFA戦略への慎重論も高まっている。前回Bクラスの2013年オフは大型補強を敢行。翌年の日本一につなげた。今オフに関しては地元・九州の佐賀出身でもあるDeNA・宮崎敏郎内野手(32)がFA権を行使した際には獲得に動くとの〝観測〟も出ているが…。

チーム関係者は「(宮崎は)年齢的な面もあるし、人的補償もいるでしょ。サードにはリチャードが出てきている。栗原のオプションも使えるし、松田ももうひと踏ん張りと燃えている。いい打者なのは間違いないが、将来的なことも考えると動かなくてもいいのでは」。球団内には「勝つことが最優先とはいえ、世代交代の必要性が目に見えて浮き彫りとなっている」との課題意識もある。

振り返れば2005年オフには2年総額15億超で契約していた大物・バティスタを違約金を支払い1年で自由契約にしている。ポジションが重なる松田を希望枠で獲得したため戦略的にチームの若返りを進めるためだった。結果的に松田は常勝軍団の中核に成長した。

また、そもそも有望な若手選手が流出しては痛手となるだけに、かねて人的補償がともなうA、Bランクに関しては球団方針として慎重でもある。近年ではヤクルト・山田、楽天・浅村、阪神・西の獲得に動いてはいるが、いずれも是が非でもという補強ポイントだった。

今季オリックスで杉本が台頭しチームを引っ張っているように、多少の時間を要しても実戦を糧に大砲が育つ〝破壊力〟は大きい。宮崎が権利行使ならば調査対象にはなるが、常勝軍団の再構築へ急がば回れの若手育成に舵を切る可能性が高い。

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