沖縄出身の学生、Uターン就職が増 コロナ禍が影響 「地元で就職」企業も後押し

 新型コロナウイルスの影響で、県外学校に通う県出身学生のUターン就職の希望が増えている。地元の家族との時間を大切にしようと、県内企業には県外学校からの応募者数が増加傾向にあるという。コロナ禍で県外での就職活動が思い通りに行かなかったり、志望業種を変更したりするなども、学生の帰郷動機につながっていると見られる。

 県内セメント大手の琉球セメント(浦添市、喜久里忍社長)では、2022年度採用の募集に計116人の応募が来た。昨年の52人から倍増し、うち県外学校からの応募者数は計26人に上った。同社人事課採用担当の八幡啓(とおる)係長は「募集チャンネルの拡大や県外開催の求人イベントへの積極的な出展などで、県外学校からの応募者数が増加した。22年度入社の内定者には県外イベントで出会った学生もいる」と説明する。
 同社は2016年から毎年Uターン求職者を採用しており、八幡係長は「今年はコロナで元々航空業界やホテル業などを志望していた学生らの応募が増えた。今後も県内外を問わず、学生と出会える機会に努めたい」と述べる。
 建設業の仲本工業(沖縄市、仲本豊社長)でも、昨年は2人だった県外学校からの応募者数が今年は8人と増えている。同社総務課人事係長の吉野咲枝さんは「自社ホームページでPRを強化するほか、社員の奨学金返還支援制度の導入などで応募者の増加につながったのではないか」と分析する。さらに「コロナ禍で地元に帰りたい学生が増えた。県外の専門学校に通う学生らは県外での就職が難しくなり、県内企業への応募も視野に入れてくれているようだ」と話した。
 今後も優れた県外人材の応募を維持するため、吉野係長は「試験の際、応募者の航空券の負担や、若者に伝わりやすい魅力のある情報を発信していきたい」と力を込めた。
(呉俐君)

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