虹のように

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 七色の虹は、太陽を背にしたときに前方に見える。空気中の水滴に日の光が入り、反射する現象だという。太陽とは反対の向きに現れることから、お天気キャスターでエッセイストの故倉嶋厚さんはこう書いた。〈日の差す方角ばかり探している人に、虹は見えないのです〉▲ある時は光を放つ太陽のような人の方を向く。ある時は、日の差さない方角を向き、十人十色ならぬ七人七色の生き方、置かれた境遇をつぶさに見る。新聞づくりと虹を仰ぐことは、どこかしら重なる▲うれし涙、悔し涙、悲し涙という世の中の水滴を映し出すこと。いつの間にか虹が消えるように、一日一日、新聞から“旧聞”へと入れ替わること。新聞と虹と、似ているところは他にもある▲きのうから新聞週間で、代表標語は〈答えなき 時代のヒントを 探る記事〉。コロナ禍をはじめとして先が見通せない社会へ、せめてヒントらしきものをお示しできればと、そう願う▲それには、一にも二にも「現場」に分け入るしかない。いま社会面では、記者たちがニュースの現場で肌身に感じたことを書き、迷いも明かしている▲昨今は「虹予報」をネットで見られる。人々が虹を探すのは、それがどこか希望を感じさせるからだろう。同じように新聞も明日につながる懸け橋でありたい。(徹)