こんにちは、鮨ブロガーの「すしログ」こと大谷です。
僕は10年以上の歳月を掛けて、日本全国の鮨・鮓・寿司を巡ってきました。
そして、2015年に「鮨ファンを増やしたい!」と言う気持ちでブログを開設しました。
さて、実はここ2~3年、鮨の人気が急激に高まっている状況です。
若手職人さんのレベルアップが目覚ましく、鮨好きもどんどん増えています。
一昔前は「鮨は特別なもので、敷居が高い」イメージでしたが、今やそのイメージは払しょくされ、「特別感がありつつ、誰もが楽しめる料理」へと変わったように感じています。
カウンターだけのお店でも、20代のカップルを見かけることが増えました。
そして、特に面白いと感じているのが、全国各地に「上質な鮨店」が増えたことです。
昔は地方だと、回転寿司、街場寿司、高い街場寿司の3つに分けられる状況でしたが、現在は「上質な鮨店」もラインナップに加わりました。
僕が何をもって「上質な鮨店」と定義しているかは、シンプルです。
すなわち、江戸前鮨の仕事=調理法を用いているかどうか?です。
江戸前鮨の仕事とは、〆る、煮る、蒸す、漬ける、寝かせると言った調理技術です。
つまり、生ではなく、調理していることが重要なのです。
握り鮨の原点にある仕事を施している鮨が上質と考える次第です。
ご当地の魚に江戸前鮨の仕事を用いているお店は、「東京では食べられない江戸前鮨」を食べさせてくれる「上質な鮨店」です。
鮨のために旅をする価値があるほどに、鮨が面白くなっていると言えます。
当コラムでは、そのような「上質な鮨店」を「ご当地江戸前鮨」と呼び、魅力をお伝えしていきます。
「ご当地江戸前鮨」で感動したお店の一つが、新潟の『兄弟寿し』さんです。
『兄弟寿し』の魅力
『兄弟寿し』さんの魅力を挙げると、主に以下の3つです。
・ほぼ全て新潟産の魚を使用!
・マグロが無くても満足させる構成!
・シャリ(酢飯)も新潟産!新潟のお米に新潟のお酢と塩を使用
『兄弟寿し』さんは1960年(昭和35年)に創業をさかのぼり、もともとは繁華街の街場寿司だったそうです。
しかし、2代目の本間龍史親方が東京で修業して、「ご当地江戸前鮨」に発展させました。
新潟の鮨のみならず「ご当地江戸前鮨」を語る上で、外せない存在の一軒です。
それでは、実際にお料理をご紹介しつつ、魅力に迫ります。
『兄弟寿し』で驚いた握り
『兄弟寿し』さんで頂き、美味しさに驚いた握りをご紹介します。
「寒ブリ」
佐渡で揚がった10キロオーバーの寒ブリを16日も熟成させている。
熟成によって身に脂が回り、旨味も強まっている。
地方では「鮮度」「プリプリな食感」が喜ばれることが多いので、熟成は先進的な試みと言えます。
江戸前仕事の「寝かせ」をさらに進めたものが「熟成」なので、食わず嫌いせずにトライしてみると、新たな世界が開けると思います。
「イクラ」
サケの名産地である村上産のイクラ。
43℃でほぐし、塩や醤油には漬けていないため、濃厚な味わいだ。
さらにシャリの酸味のお陰で尚更濃厚に感じる。
イクラは醤油漬けでしっかり味を付けることが多いですが、イクラ本来の味と香りが失われてしまいます。
旬の時期にご当地に行くと、驚くほどに美味しいイクラを頂けて、しかも江戸前鮨のシャリが美味しさを引き立てます。
僕は「シャリは鮨の生命線」と言うのが持論ですが、上質な「ご当地江戸前鮨」はシャリが美味しくなくては成り立ちません。
『兄弟寿し』で驚いた酒肴(つまみ)
次に、『兄弟寿し』さんで頂き、美味しさに驚いた酒肴(つまみ)をご紹介します。
「帛乙女(きぬおとめ)」
京料理の海老芋のように出汁を含ませた後に、薄い衣でカリッと揚げている。
海老芋よりもとろりとした口当たりが魅力的で、里芋で作る意義がある。
香りや甘みも抜群。
「やひこ太郎」
弥彦産のブランド椎茸で、肉厚で味わい深い。
香りが強くて、旨味もたっぷり。
以上2品を見て、「えっ!鮨店なのに野菜のつまみ??」と思われる方も多いでしょう。
「刺身じゃないの!?」と。
しかし、これは素晴らしいことだと感じます。
その理由は、「新潟産の美味しい魚を、ほぼ全て握りで出そう」と言う本間親方の気概が伝わってくるからです。
鮨店は、酒肴よりも握りを楽しむ場所です。
なので、美味しい地物の野菜で酒肴を作り、魚を握りに集中させるのは、本当に美味しい魚が多いことの証だと、訪問して感じました。
単に美味しい鮨を握られているだけでなく、既存の価値観にとらわれないコース作りが出来る本間親方は、間違いなく凄腕の職人さんと言えます。
センスでブレイクスルーする職人さんに出会えるのも、「ご当地江戸前鮨」の魅力です。
まとめ
さて、「ご当地江戸前鮨」の魅力が伝わりましたでしょうか?
本記事を見て、鮨旅行をしたい!と思って頂けたならば望外の喜びです。
鮨は、魚の美味しさを引き出す最高の料理です。
なにせ「魚を旨くする」と書いて「鮨」ですから!
地魚酒場や定食屋でワイルドに味わう魚も格別ですが、「ご当地江戸前鮨」も一緒に巡ることで、その土地の魚の真の魅力に気付けると思います。
一緒に「ご当地江戸前鮨」を開拓しましょう!
■こちらでもオススメのお店などを紹介しています!
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*この記事は2019年12月時点の情報を基に作成しています。
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ライター:すしログ(大谷悠也)